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※ヒロイン、メンヘラ気質。そして坂田さん酷めです。





「笑えねェよ」


ぼんやりと青く浮かぶソレを見て彼は言う、笑えないと。普通なら耐えられない、馬鹿だと付け加えて。


「だよね、」


こうやって無理に笑うもんだから口元も引きつり、震えている私に。変わらないし変えられない、現状を呪ったところで、何も。いつからだ?なんて聞かれても分からない。それ程に長い間こうなんだと実感する。


「女の顔殴るなんて正気じゃねェよ、別れろ………とか言ってくれると思ってんのか?クソ女、いい加減うぜェっつーの」
「…!!!」


望んでいたモノでは無く思いもよらない言葉が降り注ぎ、青ざめるしかない。彼、銀さんならきっと私の欲する優しい言葉を…大丈夫か?って言いながら頬を撫でてくれると。それなのに冷たい声色で告げ続ける。


「やっぱそうか。おかしいと思ったんだよなァ。だってよォ…」


瞬間しくじったと脳裏に文字が浮かんだ。私はやってしまったのだ、確率的におかしい事を。それを今の今まで気付かなかったなんて…


「てめェの彼氏は歴代全員左利きですかァ?」


バレてた。殴られては銀さんに話してから別れる、と言う作られた流れを。勿論、自分自身の頬を痛めつけていた事も。でも、でも……


「自分でやったろ、ソレ?」
「ぎ、銀さんに、っ!」
「あ、言っとくけど俺なまえの事嫌いだから」
「酷い!」
「なまえよりはマシですぅー。はーい、かいさーん!じゃぁな」


こんなやり方でしか気持ちも伝えられない私が嫌だ。追いかけたいけれど醜い部分を知られてしまってはもうどうする事も出来ない。そんな私に銀さんは背を向けながら言葉を投げ掛ける。どうしてあなたはこんな時ですら…酷い事を言っておきながら、最後の最後にそんな事を言うのだろうか。突き放した癖に僅かな希望で救い上げようとするのか…でもそれが坂田銀時なんだって、私が理解する為には頭が足りない。


「あー、でも…出会った頃のなまえは好きだった、かな、多分」


多分と言う不可確かなものを頼りに、あの頃の真っ白な私に戻れるまで貴方は待っていてくれますか?なんて小さくなっていく背中を見続けながら考えた。


心から笑えるその日まで
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