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「デートがしたい…」
「あんたこの間は恋がしたいとか言ってなかったっけ?」


怜との事は知らせたが、何かあると私をからかうこの友人は面白く無さそうで…思い起こせばあれから早三週間、私たちはデートとやらをしていない。頻繁にデートする資金は学生には無いし学校を挟んで逆方向の家に住んでいる私達は放課後デートもした事が無い。


「そりゃそうだよねぇ、せめて放課後デートくらいしたいよねぇ」


そうニヤニヤしている友人…このカップルは家も近くて幼馴染みだから少し羨ましい。


「お得意の色仕掛けで誘ってみたら?」
「色仕掛けって…お得意でもないし、誘うなんて出来ない」


そして強がりの癖に優柔不断で自分の気持ちを素直に伝えられない自分が嫌になった。



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僕は今、先月から付き合いだしたみょうじ先輩との事を思っている。クラスの女子生徒達は“彼氏と何処かへデートしに行った”とか言っていて、デートと言うものをした事が無い僕としては羨ましくて仕方がなかった。


「怜ちゃん何か考え事?」
「そんな事はありません…!」
「隠しても無駄だよ?怜ちゃんがなまえ先輩と付き合っ「渚君!!」


大声で叫んでしまった事に恥ずかしさを感じ小声で続ける。


「何でその事知っているんですか!?」
「なまえ先輩から聞いたけど?」
「あの人は全く…」
「もしかして恥ずかしいから内緒にしたかった?」


追い討ちを掛けられ僕は見事に撃沈。


「えぇそうです!付き合って三週間が経ちましたが、僕達は所謂デートと言うものをした事がありません!悪いですか!?」
「いやぁ、悪くはないけど………そんな大声で叫んだらバレちゃうよ?」


気付いた時にはもう遅くみんなの視線が僕達に注がれ、ヒューヒューと冷やかす人もいて物凄く恥ずかしかった。“まぁまぁ、とりあえず座って落ち着こう怜ちゃん!”と渚君の一声で席へは着いたが落ち着いてはいられない。


「デートくらい普通に誘えば良いのに」
「それが出来れば苦労してませんよ…」


よしよしと頭を撫でられ落ち込んでいた気持ちが少し楽になる。渚君の様に自分の気持ちを素直に伝えられれば良かったのに…と涙目になったその時…


「みょうじ…先輩?」


廊下を走っていたみょうじ先輩が一瞬見え胸が熱くなる。その瞬間、教室の扉が思いっきり開かれ、息を切らせたみょうじ先輩がいきなり「怜いる!?」と言い教室へ入ろうとした。


「何ですか一体!?」
「あ、あの、ね!そ…その、」


僕は落ち着きの無いみょうじ先輩に「落ち着いて下さい」と言い、はぁーっと深呼吸を済ませた彼女が僕に近づく。


「怜、私を…デートに誘いなさい!」


公開処刑はやめてください…
(そんな事を言いにわざわざ…)(怜は…したくないの?)(そっ、それは…したい…です)
(じゃぁさっさと!)(言っちゃった方が良いと思うよ、怜ちゃん…)(渚君までっ…!)
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