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「ぐっ!!」
旦那を見てる二つの影を見付けたから其の影の一人を捕まえて問い質そうとしたら此の様だよ。
まさか返り討ちに会うなんてね……。
動こうとすればクナイに属性が付いてるのか体力を奪われる。
闇属性……。
「八重様、」
「え……?」
『んー、私達は独眼竜からの伝言を真田幸村に伝えれば其れで良いんだけど……』
「っ、だったら其れ、俺様が伝える、よ……」
『さっきも言ったように私達は真田幸村に用がある。お前は用じゃない。……故に、要らない』
「っ!! ……八重ちゃ……」
「八重の知り合いなのか?」
『さあ、知らない』
泣きたくなった。
久々に会った其の人は俺様やかすがと同郷の忍である八重ちゃんだからだ。
でも何故彼女が織田の手の者と一緒に居るのかも分からない。
まさか、織田に仕えてるのか?
「……」
『ねぇ、私達に真田幸村を案内してくれるならクナイ取ってあげても良いよ』
「…………分かった」
『随分と物分かりの良い奴。嫌いじゃないよ』
「っ、八重ちゃん……」
『だからって好きでも無いけど』
彼女の冷たい言葉が胸に刺さる。
「む? 佐助、如何した?」
「旦那に客だよ」
『初めまして。とある軍で直属の忍兼軍師を務めてる、八重と申します。そして隣が……』
「……柴田勝家だ」
『彼は私の部下であり大切な……とても大切な人……』
「八重様……」
『独眼竜から虎若子に伝言をと』
「政宗殿が某に?」
『はい。次にある戦、其の戦について“今度は俺が勝つ”そう言っておられました』
「政宗殿ぉぉぉ!!」
煩い。
私ってこんなガラじゃ無いのに態々、愛想良くなんて自分でも気持ちが悪いわ。
取り敢えず、伝言済ませたら帰りましょう。
『では、私達は此れにて失礼します』
「待つでござる!」
『はい?』
「八重殿は此れから何処に向かわれるのだ?」
『……魔王討伐』
「八重ちゃん、一人で行くの!?」
『勝家と一緒に』
「そうだとしてもお二人では……」
『別に二人で行くなんて言ってない』
魔王討伐に行くのは確か。
でも魔王を倒すのは勝家であって、私じゃない。
私は其れを邪魔する者達の排除。
……半兵衛に言って二人を貸して貰うとするか。
此処に居ても埒があかない。
帰って直接言おう。
そう告げて私達は彼らの有無を聞かず帰ってしまった。
「……佐助、某も向かうぞ」
「へ? 旦那、大将には……」
「お館様に申し上げたら直ぐにでも……」
「旦那にしては珍しい」
そんな会話がされてるとは知らずに。