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「Hey、八重。次は何処に行く?」
『甲斐にでも、と』
「だったらmessageを頼んじゃくれねーか?」
『伝言? 良いけど……』
「いつも思うんだが、八重は良く政宗様の南蛮語が理解出来るな」
『風魔が考えてることも分かるけど』
「其れも其れでスゲェな」
「甲斐には武田のオッサン以外に真田幸村が居る。そいつは俺のrivalだ」
「雷……張……?」
『勝家、』
「八重?」
『好敵手だから。雷張ってどうすんの』
「そう……なのか……?」
なんだろう、勝家が可愛く見える……。
「其の真田幸村に会ったら“次の戦は俺達が勝つ”と伝えておいてくれ」
『分かった』
「雷張……」
『だから違うって』
雷を張るなんて聞いたことねーよ。
意味が全く違うから止めろ。
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遠くから見つめる。
あれが真田幸村。否、虎若子。
「彼が伊達氏の雷張……」
『好敵手』
「八重様、此れからどうするおつもりで……?」
『んー、取り敢えず様子見……っ!?』
「八重様!?」
様子見してからタイミングを見計らって近付くつもりだった。
なのに、私が後ろを取られるとは……。
「……アンタは何処の手のもんだ?」
『……』
「……」
「アンタは確か織田の……」
「……」
「ってことは、織田の手の者か……」
『……魔王の手先とか些か心外だな』
「え……」
ボフンと解ける。
そしてそいつの背後から蹴り飛ばして逃げないようにクナイをそいつに向け放つ。
見事、磔の出来上がり!!
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