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『うまー!!』

「……確かに」

『此れで当分は生きていける』

「大袈裟だな」

「hum……八重、お前とはどっかで会ったことあるだろ?」

『越前の北ノ庄城じゃない?』

「そう、其れだ!!」

「……あの時、か……」














**



越前・北ノ庄城。


織田と豊臣が其の城を中心として戦っていた。
織田は守ろうとして。
豊臣は其の城を落とそうとして。

私は其の城に潜入することに成功した。





『ねぇ、此の攻防戦はいつになったら終わるの?』

「「!?」」

「八重!?」

「……八重、様?」

「ちょっ、三成様、知り合いっすか!?」

「勝家、知り合いか?」

『あは、勝家。迎えに来たよ』

「っ、八重様……」

『で、答えは決まった?』

「八重様、八重様……八重……」

『うん、分かったよ。そりゃあ縋り付きたくもなるよね。大丈夫だよ、例えキミに罵詈雑言を浴びせて来る雑魚兵が居ても私“だけは”貴方の味方だから』

「八重様、私は貴女と共に参ろう。だが……」

『嬉しい、私と来てくれるんだね。雑魚兵に何か言っておくの?』

「ああ。だからもう暫く待ってて欲しい」

『良いよ、キミの為に待っててあげる』

「……私の、為……」







突然俺達の前に現れた女の子が居た。

其の女の子の服装の色合いが何処かで見たことあるような色合いで蔦の家紋が刺繍されていた。

三成様は知っていた。
だけど、居ることに気が付か無かったのか非常に吃驚していた。

綺麗系の美人で何より可愛かった。

勝家とあの子が話してる。
あの子相手なら、あんな表情もするのかよ。
なんだよ、彼奴らの関係。


まるで前に一度会ってるような……。






「八重、貴様は何しに来た」

『用が無ければ来ちゃ行けないの、みっつん』

「っだ、誰が“みっつん”だ!!」

『今回はキミに用は無いんだよ、ごめんね』

「っ、」

「Ha!! どうやらテメェは勝家だけでなく石田とも交流が会ったとはな」

『三成と勝家だけじゃ無いけどね』

「Ah? どういうことだ?」

『半兵衛とか元就とか。三成と元就は親友だけど。あとは……上杉の忍と武田兼真田の忍に聞けば自ずと分かるよ、独眼竜』

「な……!?」








まさか、三成様と親友とか信じらんねぇんだけど。
でも三成様を“みっつん”とか呼んでるから仲良いのは分かる。

俺は三成様に“みっつん”なんて言えねぇけど。




あの子が去り際に俺に手招きした。






『キミの名知らないんだ。教えてくれる? 私のことは八重で良いよ』

「俺は島左近。左腕に近し男ってことで!!」

『左腕? ……ああ、そういや左腕だったわ』

「忘れてたんスか!?」

『忘れてないよ……ん? 忘れてたのか』

「どっち!?」

『はは、キミと話すと面白いね。今度ゆっくりと話そうか。じゃあね、左近』

「へ、今名前……」




あの子は笑顔で去っていった。
うん、笑顔が可愛い。











***


「八重、お前……あの時の……」

『今気付いたの!? 遅くね!?』

「お前、忍なら何処に仕えて……」

『右目に聞きなよ、知ってるから』

「政宗様、彼女の服装の色合いと家紋から見てあの松永に仕えてる忍かと……」

「What!? 松永!? 待て、彼奴には風魔が居るじゃねぇか!!」

『風魔は契約してるだけ。松永様直属の忍は私だけ』

「じゃあ、なんだ彼奴も此処に居て此れ(竜の爪)を狙ってんのか!?」

『居ないよ。此処に居るのは紛れもなく私と勝家だけ。松永様は風魔と一緒に珍しい茶器でも巡りに行ったんじゃない?』

「……」

『そして其の珍しい茶器が私の元に送られてくる。あっても邪魔だから送り付けるなとは言ってあるよ。其れでも送り付けたら、今度会った時に顔面にぶつけてやろうかと……』

「oh……怖えぇよ。良く其れで怒りを買わないよな」

『日常茶飯事だし』

「此れが日常茶飯事だったら俺はやっていけるか!!」

『そんなこと言われても……(´・ω・`)』

「おい、しょぼーんとなるな」

「八重……」

「そしてイチャ付くな」









俺が思ったことは、勝家が八重相手だと人が変わるということと其の八重があの松永の直属の忍であることだ。

真田幸村のとこの忍と上杉の忍よりも質悪いな。



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