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………………八重様とはぐれた。
何処に行ったのか聞きたいものだが、私なんかが聞いても良いのだろうか。
……伊達氏に聞けば分かるだろうか……。
同時刻、奥州にて。
「筆頭ー!!」
「Ah?」
「どうした?」
「女の子が行き倒れてます!!」
「Oh……取り敢えず行って見r「政宗様、此処は此の小十郎が見て参ります」……what!? 小十郎!?」
「テメェら、政宗様を見張ってろ!!」
「了解です、小十郎様!!」
部下に政宗様を見張らせ俺は行き倒れた女が居る場所に向かう。
居た。
彼奴か。
見たところ普通の……
否、此の色合いと良い此の家紋と良い……。
彼奴が近くに居んのか!?
其れでもコイツを此のままにしておくわけにはいかねぇ……。
「おい、起きろ」
『う……ん、……お腹減った……』
「腹減ってるのか。仕方ねぇ、用意してやるから着いてこい」
『っ、え!?』
「おい、」
『まさか、はぐれた系!?』
「女、聞いてんのか!!」
『聞いてるわよ、竜の右目』
「ほう、俺のこと知ってて此の様か」
『いやぁー!! 止めてー!! キレないでよ!!』
ちょっ、何なの、此の人!!
勝家とはぐれて取り敢えず歩いて居たら腹は減るし、行き倒れるし。
腹を空かせた女に対する言動か!?
畜生、何処に居るのよ!!
***
八重様は居るだろうか……。
「伊達氏……」
「勝家?」
「八重は……居ないの、か?」
「八重? 誰だ?」
「絶望に居た私を救ってくれた私の大切な人だ」
「勝家、お前……変わったな」
「変わった? 私が?」
「前までは人形みてーに瞳に光すら通さなかったじゃねーか」
「……私が、変わった……」
最近はずっと八重様のことを考えてる気がする。
八重様は私が必要だと言った。
私を好いているのだと。
絶望しかない私に八重様は明るく無邪気に接した。
気味の悪いと罵られる私を救ってくれた八重様は優しかった。
だから惹かれたのか。
だから守ろうと思ったのか。
声が聞こえてきた。
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