死んだと思ったのに目の前には黒い球。
は、どこ?
周り見ても知らない人間ばッか。
金髪の隣に中学生が居たのは分かるけど……。
「音無? 音無だよな? 何で此処に居んの!?」
え?
誰かに名前を呼ばれたから振り向く。
童顔の男とオールバックの男が居た。
童顔の男は見たことあるような………。
誰だっけ?
『………誰?』
「はァ? 音無、俺のこと知らねーの? 同じクラスなんだけど」
『私の名前、知って……。あ……玄野……?』
「そう!! お前なに、死んだの?」
『アンタだって死んでんじゃん。どーやって死んだの?』
「えッと……」
『電車に轢かれたトカ?』
「は? 何で分かったんだよ……」
『はぁ? マジで? 適当に言ったのに。つか、電車に轢かれたトカ馬鹿じゃん』
「うるせぇよ。コイツに巻き込まれただけだし」
そう言って玄野は“コイツ”否、隣のオールバックの男を指した。
「………そっか。計ちゃんごめん……。俺……喜んで手伝ってくれてるとばっかり……」
「んな奴、居るかよ!!」
『変わった人だね。玄野の友達?』
「まぁ……。親友つーか幼馴染みつーか……」
『へぇ。同じ学校で同じクラス、唯一の友達である私以外にも友達が居たんだね』
「お前、結構失礼だよな」
『本当のことでしょ?』
音無に言われた。
結構辛辣だってことが分かった。
「君、可愛いーじゃん」
『誰』
「あ、俺? 俺は稲森貴史」
「自己紹介しなかったくせに、なんだよ!!」
「てめーらに興味ねーし」
『私もアンタに興味無い』
「そんなこと言わずにさぁ……」
『玄野、私の趣味に合う奴居るかな?』
「はァ? まだ探してんのお前」
「計ちゃん?」
「音無がさ、自分の趣味に合う奴と友達になりたくてずッと探してんだよ……」
「彼女なら居ても可笑しくは……」
なんて加藤は言うけど、普通の友達って言ったら俺しか居ねーと思うけど。
趣味に合う奴なんて居るかよ。
只でさえ、嗜好が残念なのに。
『やッぱ、もっと貸してあげるよ。DVD』
「良いっつーの。お前の其のDVD、トラウマになるんだから」
『慣れれば問題ない』
「そういう問題じゃねー!!」
また1人来た。
今度は女の子。
趣味の合わない奴は友達になりたくない。
玄野は別だけど。
『玄野って絶対、躯目当てだよね』
「は、はァ//!?」
『勃ってるけど』
「ば、女がそういうこと言うなよ//!!」
『はァ? 別に良いじゃん』
「良くねーよ」
* * * * *
ラジオ体操の曲が流れた。
此れから何が始まるんだろうとワクワクしてる自分が居た。
すると黒い球が左右と後ろに開いた。
スーツケースあった。
中身もスーツ。
しかもコスプレ。
面倒だから着なくて良いや。
ハンドガンみたいな銃と何かの端末機が気になり手に取る。
そしてヤクザから順に消えてった。