あの後、1人で帰ろうとしたけど両脇に玄野と西が居て結局3人で帰った。
「なァ、朔夜。此れからずッと、朔夜ン家に居ても良い?」
「はぁ!? ちょ、おまッ、其れッ……居候ッてことか!?」
「ウッセェ。テメェに聞いてねェし」
『別に良いけど』
「良いのかよッ!!」
『其の代わり、放課後……迎えに来てね』
「ハッ、其のつもりだし」
「俺がさせないし!!」
はぁ……。
溜め息しか出てこない。
『何がしたいの?』
「「は?/え?」」
『玄野はさ、小島さんが居るのに私とどうしたいの? 私のこと好きなのは知ってるけど、伝える相手が違くない?』
「……ごめん……」
『別に良いよ。“友達”として玄野のことは好きだから大丈夫だよ』
「そッ……か」
『西とは“友達以上恋人未満”だから』
「は……?」
『其れ以上でも其れ以下でもない』
好きな奴に言われるとスッゲー心に刺さる。
まぁ、其れは俺だけじゃないし西もだろうけど。
* * * *
夕方、コンビニの週刊誌を見た。
“レイカの深夜の密会”なんて大きく取り上げられてる。
何故か気になって見てみればレイカの相手が玄野だった。
アイドルだかなんだか知らないけど、良くもまぁ、彼女持ちの人間と会おうとするよね。
人間としてどーなの?
『潔く引けば良いのに………』
死んでくんないかな、あの女。
そして今回もミッションが来る。
* * * * *
「玄野クン、ごめんなさい。なんかあの写真誌のせいですごいことになっちゃってて、事務所も大騒ぎになっちゃった」
『“なっちゃった”なんて言葉で済ませンじゃねーよ』
「え……?」
「音無?」
「朔夜?」
『アンタのせいで玄野は小島さんと別れちゃうし。彼女持ちの人間に良く出来るよね。人間としてどーなわけ?』
「私は……」
「音無、今言わなくても良いだろ」
『黙っててよ。……もしかしてアンタさ、玄野のこと好きなの? まぁ、否定しないところから見て肯定なんだろうね』
「おい、音無」
『玄野もさぁ、小島さんのことホントに好きなの?』
「は…?」
部屋に来てミッションが始まるっていうのに音無はレイカに言い寄った。
『罰ゲームで2週間だけ付き合う筈だったのに情が移ったトカ(笑)?』
「何で知って……」
『和泉が言ってた』
「………」
『何で、どうして好きでも無い奴と付き合えるの? 私なんて未だに“大事なもの”すら返して貰えないのに』
朔夜と玄野が言い争ってる。
其の儘にしとけば良いのに、どうして俺を見てくれないわけ?
何で玄野なンだよ……。
俺だッてお前が好きなのに……。
言い争ってる間に今回のミッションのターゲットが表示された。
ゆびわ星人。
強いらしいから点数も高ければ良いとか思う。
「朔夜、」
『どうして私がこんな目に合わなきゃ……』
嗚咽していたところから恐らく泣いていた。
名前を呼んで引き寄せ頭を撫でる。
俺にしとけば、なんて言えなかッた。
軈てミッションが始まり転送される。