12.マネージャー[2]
『え…と…』
どうしましょう。
と言うか、何故よりによって私なんだ。
他にも居るだろうに。
そう伝えれば、ミーハーなコばかりで困る、だそうだ。
「ハァ…琉那、流石にあたしも先輩達は止めらんないわ。琉那がしたいようにして?無論、やりたくないって言うなら、全力で阻止するけど」
『ありがとう、未香』
未香にお礼を言った後、雪兎に視線を向ける。
問題は雪兎が許してくれるかどうかなんだよね…。
「──治兄、隆兄」
「?」
「何だい?」
「二人が、琉那を見守っててくれるなら、いいよ」
『え、いいんだ?』
「……まぁ、一億歩譲って…」
「遠っ!!」
雪兎の発言にツッコミを入れる桃だけど、雪兎と海堂君にうるさいとでも言いたそうな目で見られていた。
『…大石先輩』
「ん?」
『そんなに、困ってらっしゃるんですか?』
最終確認としてもう一度訊ねると、大石先輩は苦笑して頷いた。
『じゃあ、やります』
「え?」
『困ってらっしゃるなら、やりますよ。私で良ければ』
先輩方と桃と海堂を見て言えば、彼らは驚いた後に嬉しそうに笑って、ありがとうと言ってくれた。
「水神さん、あっりがとー!!」ガバッ
『ふぉ!?…びびび、吃驚したぁ』
いきなり抱きついてきた菊丸先輩。
フラついてしまったが、なんとか踏ん張った。
「「英二」」
「琉那から離れてください」
けれど、大石先輩と不二先輩、雪兎からの、トリプルパンチを食らった菊丸先輩は、苦笑いしながら離れてくれた。
「て言うか…ねぇ、君」
「「「『?』」」」
「いつまでいんの、其処に」
「なーんだ、バレてたんだ」
「越前!!」
『あれ、リョーマ君』
「「「リョーマ君!?」」」
雪兎の視線の先を見ると、壁の裏からリョーマ君が出てきた。
名前を呼べば、一斉に皆の視線が此方に。
あれ、リョーマ君であってるよね?
「…琉那、何で名前呼び?」
『え?リョーマ君が名前でって言ったから…』
言い終わる前に、キッとリョーマ君を睨む雪兎。
何が起きたの?
二人の間に火花が散る中、私はただ首を傾げるだけ。
どうしようかと困っていると、大石先輩から声がかかった。
「一応、公平にマネージャーテストもしなくちゃならないんだ。明日から3日間なんだけど…」
後二人くらい希望の人が来るから。
そう言った大石先輩は苦笑い。
ミーハーな人なのかな?
『わかりました。宜しくお願いします』
そう言えば、彼らはふわりと笑った。
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