10.双子の姉

綺麗に笑うコだったにゃ。
それと、他の女子とは違う。

まず、いくら転入生だと言っても、二週間も経てば、有名(自分で言うのも難だけど)な俺達の、顔と名前くらいわかるはず。
テニス部だと言っても興味なし。

こんなコは初めてだったにゃ。

手当てすると言った水神さんの目には、下心とかは一切無く、純粋に俺を心配してくれていた。





「英二、どうかしたのか?そんなに嬉しそうに手を見て…」

「大石!!今日、面白い女の子に会ったんだよー!!」





部活の休憩中、水神さんが手当してくれた手を見ていたら大石に声を掛けられた。

面白い女の子に会った。
それだけしか言ってないのに、大石は目を丸くして驚いた後、水神さんのこと?と言い当ててきた。





「にゃにゃ、何で知ってるんだよ大石ー!!」

「いや、俺もこの間会ったんだよ」





資料運びを手伝ったのだと言う大石にズルいと言えば、何の話かとレギュラー達(隆さんは用事で帰っていないけどね)が次々と寄ってきた。

しかも、それどころか自分も会ったと言ってくる。





「俺は初日にぶつかった。迷子で、職員室に送ったっスよ」

「越前も?僕も初日に。迷子だったから、道案内をね」

「俺はさっきも言ったけど、資料運びを手伝ったんだ。因みに、手塚もいたよ」

「ああ」

「フシュー…俺は…休憩中に少し話を」

「俺は同じクラスで毎日会ってるっスよ」





桃の自慢気な言葉にムッとしたのは俺だけでなく、一斉に視線を向ける。
当の本人は苦笑い。

それをおいといて話を始めるけれど、どれも水神さんのことを褒める言葉ばかりだった。





「(水神…琉那と雪兎か。こいつらが言うのは、琉那のことだろうな…)」





話に夢中になっていたからか、乾がノートに書き込んでいた事は誰も気づかなかった。

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