銀土/ちょっとグロい

( 血みどろの世界より )



「………あ?」


気がついたら俺の周りは赤一色になっていた。いつ殺したのか、定かではない。絡まれたのは覚えている、刀を抜いたのも覚えている。そして一人目をバッサリ首と胴を切り離した瞬間、声が聞こえたのも覚えている。俺を見る、その目も覚えている。
ぎこちない動きで顔を下に向けた。血みどろの世界を見ているこの行為が途端に恐ろしくなったからだ。まるでお前はこちら側の人間だと囁いているようで。

刀が手から滑り落ちた。拾い上げる余裕なんてない。昔の記憶がフラッシュバックして頭の中をグルグルまわる。グルグルまわって意識もまわる。


冷たい視線、罵る声、必要ないと言われた瞬間。
愛情と言われるものを何一つ味わえ無かったあの頃の俺。

今は見るに見えない姿になって転がっている男が自分を見た目と重なって。躊躇無く人の首と胴を切り離し、お前は人のような感情は無いのだと言わんばかりの目で見られ。
そして俺は一歩踏み出す。血みどろの世界に一歩近づく。クラクラとした意識の中、グルグルと回る視界でフラフラとした足取りで血みどろの世界を歩く。
おいでおいでと手招きをする優しくも残酷な世界は俺を誘う。


「土方!!」


ハッとした。今までぼやけていた脳が急にクリアになっていくのが自分でもわかる。今、自分はどこに行こうとしていたのだ。刀を棄てて、どこへ。


「もう、見るな」


優しい声と同時に俺はこの血みどろの世界から断ち切られる。


「銀時、」

「大丈夫、お前はもうこっち側。俺と同じ世界に立ってるから」


赤から黒に変わった視界が銀色に変わった。



血みどろの世界より愛を込めて、お前を救いだす。







--------------------------------書き方ちょっと変えてみた
いつも改行してるところをしなかっただけだけどね
2011/02/26 21:09
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