▼ 衝動書き
土方さんストラップを無くしたので、衝動的に
もし土方さんが銀さんの携帯だったら
携帯擬人化/現代
暗闇の中、俺は過ぎる人間をただ見つめていた。誰も俺なんかに見向きもせず通り過ぎていく。季節はもう十一月。寒くなった風を肌に感じながらも、俺はただ待つことしかできない。
「………、あれ?」
鞄の中を漁る。中身を全部出してひっくり返す。それから制服のポケットの中を手で探る。
「………ない」
携帯が、何処にも。どこかに落として来たのだろうか。窓の外を見るともう太陽は完全に沈み、暗闇が広がっている。顔からみるみるうちに血の気が引くのが分かった。
「土方!!」
俺はそのまま玄関を飛び出して自転車に跨がり学校までの道を全力疾走。
「土方ァ!!」
「………銀時」
俺の視界に入って来たのは、一人ぽつんと佇む土方だった。自転車から降りてすぐ駆け付ける。手を握ると氷みたいに冷たかった。体全体を暖めてやるように抱きしめると、そっと抱きかえされた。
「ごめん、ごめんな土方」
「……馬鹿」
ほんのり嗚咽の混じった声で言われ、俺はさらに強く抱きしめた。
私も土方さんストラップを見つけたい、銀ちゃんみたいに。
2011/11/09 02:53
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