いざ、帰らん
蒼天に 微雨の流れし そんな日は
彼方の憶いを語るべき哉
流れるる物無き 大きな溝を臨みつも
それが記憶にありし物とは気付くまい
涸れて久しき 故郷の山河よ
離れし時の 多さは今や
全てを記憶に閉じ込める

薫風に 初夏を感じる そんな日は
彼方の憶いを語るべき哉
一面の荒野 一面の巌を臨みつも
それが記憶にありし物とは気付くまい
枯れて久しき 故郷の碧山よ
離れし時の 多さは今や
全てを記憶に閉じ込める

いつぞや眺めし山河とも
 今や黒き姿に成り果てて
いつぞや眺めし草原は 今や荒れ果て
 生けし物の姿が見えず
何も出来ずに 忘れかけ
不図戻ってみやれば 面影も無し
背を向け久しき 故郷の灯よ
離れし時の 多さは今や
全てを記憶に閉じ込める

それよりも早く
いざ 還らん
 碧い故郷へ


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