◎ Khaos(1/3頁)
潮風でベタついた体をシャワーで流して部屋に戻ると、先にシャワーを浴びた奥村くんは、クロを頭に乗せたまま雑誌を読んでいた。
「なんや最悪な一日やったな〜」
「すげー疲れた一日だったな、ほんと。」
でも志摩の詠唱初めて聞けた!カッコよかった!と。
満面の笑みで言われれば悪い気はせず、その嘘や媚のカケラもない素直さに、可愛らしいなぁと思う。
朝から百面相をしていた奥村くんは、俺が普通に喋りかけたら、一瞬ぽかんとして、そのあとちょっと寂しそうな顔をしてから、なんとか普通に戻った。
(男に掘られた次の日に、まぁ、普通な顔できんわなぁ…)
それでもなんとか普通を装って、半日過ごせばようやく落ち着いてきたようで、今では傍からみても俺達はちゃんと『友達』に見えるだろう。
それがなんとなく、腑に落ちない。
気にされたら面倒くさいのに、普通みたいな顔されると、イラつく。
「最悪な誕生日やったわぁ。こんなんやったら…」
――こんな任務サボって、女の子とでも遊びに行けばよかった。
小さくため息を吐いていると、奥村くんが驚いた顔で近寄ってきた。
「たっ、誕生日、…?」
「せやで、今日は俺の誕生日や。…ほら。」
そう言うと、学生証を見せてやる。
生年月日欄に、7月4日と記されているのを見て、奥村くんが嬉しそうに笑った。
「ほんとだ…っ志摩!誕生日、おめでとう…!一緒に居れて、嬉しい。」
――あぁ、憎たらしいほど、無邪気や。
確かに昨日、汚したはずやのに。
「なぁ奥村くん、誕生日プレゼント、くれへん?」
にやり、と思いついたように笑うと、奥村くんの蒼い瞳が不安げに揺れた。
部屋の四隅には、札が貼ってある。
結界の札に少し書き加え、ある経を唱えると、人間にも聞く結界が発動する。
言うなれば、都合の良い防音設備。
兄である金造に教えてもらったものだけれど。
「う…、んっ…、ん、ン…」
「へったくそやなぁ…、もっと奥まで咥えてぇや。」
後頭部を掴んで、抵抗する舌を割り開くように、喉の奥まで差し込むと、目を見開いて奥村くんがえずいた。
「うぐ…!う――ッぅん!ンぐ!!」
苦しいのか、ぼろぼろと涙をこぼす。
その姿に欲情しては、大きさを増した怒張に、また奥村くんが苦しそうに鳴いた。
口のナカの粘膜は気持ちいいし、えずく喉の動きは好きだけど、僅かに舌を動かすだけの口淫じゃ到底絶頂にはたどり着かなさそうだった。
ずるり、と自分のモノを咥内から引き抜くと、変わりにその口に指2本を突っ込む。
「はー…奥村くんのフェラじゃあ、イかれへんわ。」
「っ――ぅ、」
悲しそうに目を伏せた奥村くんは、必死に、替わりに入れられた指に舌を這わしている。
口の中で、指2本で舌を挟んでやったり、喉の奥を触ったり。
「あ、えぁ…ッん、んんぅ」
溢れてきた唾液を指に絡めて、ぐちゅぐちゅと水音を立てる。
「スウェット、自分で下ろしてや。」
「ぅ……ッ…」
ぼたぼたと首筋を伝う唾液がやらしい。
羞恥に耐えながら、震える手で自分のスウェットを少しずつずらしていくその様は、どんな女の痴態よりも欲情する。
(変態やんか、俺)
元々「こういう事」に慣れていない女の子には手を出さないことにしている。
面倒臭いし、本当に好きだと思ってもいつか飽きる時がくるから、その時にさらに別れるのが面倒臭い。
その上、うまいこと別れなければ、女同士の意味の分からない結束によって集団で問い詰められるわ、「他校の生徒を妊娠させたことがある」だのあらぬ噂流されるわで最悪なことになる。
以上、中学で学んだこと。
だから、こういう初心な反応を返す彼に惹かれるだけなのだと。
…そう自己納得しながら、膝まで降ろされた奥村くんのスウェットを脚から完全に引き抜くと、下着の中に手を突っ込んだ。
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