◎ Offlimits(4/5頁)
しま、と呼ぶその拙く掠れた声が。
じわりと下肢に熱を運んできて、最悪だと思った。
男の声を聞いてるだけで半勃ちになるなんて、自分に呆れる。
やめるかと聞けば、泣きながら否定した奥村くんが、馬鹿で愛おしかった。
(逃げたらよかったんに。)
なんて。奥村くんが逃げない聞き方をした、自分のずるさに自嘲した。
ぐちりと隙間から3本目の指を差し込むと、また苦しそうな声が聞こえた。
いっぱいいっぱいまで広がった入り口はぎちぎちと指を締めつけて、入り込んだ指先は溶けたリップクリームでぬるぬるでうねっている。
指を差し込んだ腹側に僅かな膨らみがあって、そこに触れるとナカが締まって、肢体を跳ねさせて甘い声を上げる。
1年ほど前、金兄がソープで初めて「前立腺」を触られたとか騒いでた、たぶん、その場所だ。
女にケツに指突っ込まれるんなんざ勘弁やわ。――そう言って流した記憶がある。
(まさか男に指突っ込むとも思ってへんかったけど…)
「しま…、っあ…!し、まっ…っ」
可哀そうなほど震えてる内腿が、可愛らしい。
悪趣味だと自分でも分かってはいるが、まぁ性癖なんて大概の人間がマトモじゃないと思う。
ちら、と脇腹あたりから奥村くんのモノを見れば、完勃ちでぽたぽたと先走りまで零している。
「ふぅん?…指突っ込まれて気持ちえぇん?…イきたかったら、扱いてもええよ」
「…っ…う――」
そっちに触れる気はないと暗に示すと、ひくりと喉を戦慄かせて、奥村くんの震える手が、耐えるようにぎゅっとシーツを掴んだ。
「ああぁ…っ」
指をゆっくり引き抜くと、ぬちゅ、と厭らしい音がして、てらてらとぬめる真っ赤な内壁がゆっくりと口を閉じていくのを眺めた。
ごくり、と。思わず唾液を嚥下する。
さっきまで奥村くんのナカを掻きまわしていたぬるぬるの手で、自分の竿を2、3度扱くと、今度は自身を後孔に宛がった。
「、し…ま…?」
振り向いた白痴なその表情が、ぞくぞくと支配欲を刺激する。
「今からな、俺のが、…奥村くんのナカに入るんや…」
自分でも驚くくらいに欲にまみれた声だった。
「…?」汗と涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔で、蕩けた頭で考えている奥村くんが答えにたどり着くより前に、ずずっと自身を半分まで押し進める。
「っひぁ―――!!」
衝撃から逃げるように、背中も首筋も反らして、涙を零す奥村くんは、純粋に綺麗やと思った。
「は…っおく、むらくん、力抜いてや…」
「ッあ…む…む、り…っ」
食いちぎられそうなくらいぎゅうぎゅうと締めつけられて、痛みまで伴ってくると、苛立ちが増してくる。
ふいに思いだしたように、尻尾の付け根のほうをぐにぐにと揉むようにして擦ってやると、蕩けた声を漏らして、全身の力がふにゃりと抜けた。
「ふぁ…あ…」
「っうわ、やば…」
熱くうねりだした内壁が、吸いつくように奥へと誘い、一瞬で訪れた射精感に腰が痺れた。
狭い内壁を割るように奥へと進めると、びくびくと体と同じようにナカが締めつけられてたまらない。
「あ、ぁ…くる、しっ…」
「あかん…奥村くんのナカ、めっちゃ気持ちえぇ…」
恥ずかしがって黙り込んだ奥村くんとは正反対に、内壁はきゅうきゅうと嬉しそうに締めつけてきた。
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