◎ Offlimits(2/5頁)
縋りついてくるような眼が、その揺れる蒼いサファイアみたいな瞳が、俺の嗜虐心をくすぐる。
まるで捨てないでと寂しげに鼻を鳴らす子犬のようだ。
思わず口端が上がりそうになって、ギリギリ留めると、耳元で小さく囁く。
「黙っとったるさかいに…ちょっとだけ尻尾、触らしてくれへん?」
「っ、え…でも…」
「痛いことなん、絶対せぇへんから…な?」
「き、気持ち悪くねーのかよ…?」
「うーん、別に?…奥村くんのやからなぁ」
ふわりと笑いかけると、顔を真っ赤にして三角座りをしてしまったが、布団の隙間から真っ黒な尻尾がふよふよと出てきた。
ゆるく俺の右腕に巻きつくそれは、意外なほど手触りがよかった。
短い漆黒の毛が綺麗に並んでいて、先の方だけ毛並みが長くて丸まっている。
「っふ…ぁぅ…っ」
緩く包むように握ったまま先端まで撫で上げると、奥村くんは小さく声を上げ、何かを耐えるように太腿を強張らせて、腰を捩った。
「なぁ、これってどんな感覚なん?」
そう聞きながらも、手はずっと尻尾を撫で続けている。
これなら痛くはないはずだ。
「な…っんか、は、ぁ…ぞわぞわって…」
舌っ足らずな声が、どんどん俺の理性を奪っていく。
(さすがの俺も男の子は相手したことないんやけど…)
「っあ…なに、っ??」
肩を後ろに押して、横たわらせる。
誇張し始めた、奥村くんのそこを目で確認すると、スウェットに手をかけた。
「なっ…!!やめっ、しま…なにやって、っ」
ずるりと一気にスウェットを剥ぎ取ってしまうと、奥村くんは怯えたように後ずさった。
「しぃー…。隣、出雲ちゃんの部屋やで…?」
「――っ!!」
人差し指を唇に当ててそう言うと、奥村くんはぎくりと体を強張らせて、壁を見て黙り込んだ。そうやって、じわじわと抵抗を封じていく。
まぁ5分ほど前に風呂に入りに行ったから出雲ちゃんはおらへんけど、と思いながらも、伝えない方が面白い気がして黙っておく。
あまりにも固まっていたから、優しい顔で額に唇を寄せると、奥村くんは蕩けた顔をした。
「えぇ子やから、後ろ向いとりぃな?」
「し…ま…?」
下着を脱がそうか考えて、やっぱり男のモノを触るのは抵抗があったので後ろを向かせ、尻尾の付け根らへんをぐりぐりと摩ると、背中を反らして腰を震わせた。
「あ…ぅン…っぁ」
女とのセックスで後ろは使ったことがあるけども、ローション使っても痛がるので萎えた記憶がある。
(まぁ、奥村くんは痛みに強そうやしなぁ〜)
我ながら酷いことを考えていると思うものの、せめてハンドクリームでも持っていれば助けになるのに、と思う自分は優しい、とも思っている。
そうして潤滑材になるようなものを探してポケットに手を突っ込んでみれば、小さなリップクリームが入っていた。
自分の買ったものではないが、確か昨日学校で、唇が切れて痛いと言ったら、誰かがくれたものだった。
(ま、これでえぇか。)
回転させてリップクリームの中身を全部出すと、ぐちゅり、と掌で握りつぶすようにして空にする。
にちゃりにちゃりと塊を潰していくと、右手はべたべたになった。
ぐりぐりと尻尾を捏ねくり回していた左手を下げれば、カエルみたいな格好になって息を乱している奥村くんが、涙目で俺を見た。
「し…まぁ…」
「奥村くん、膝立てれる?」
震える足を支えるようにして、膝をつかせると、腰だけを高く上げた体制になった。
「しま…?」
「だいじょーぶやから。声、殺せんかったら枕使いや?」
「…へ?」
奥村くんが俺の言葉を理解しないまま、下着を太腿まで下ろすと、きゅ、と閉じたままの蕾に、溶けたリップクリームでどろどろになった右手をあてがった。
2度ほどにゅるにゅると入り口付近を撫でると、つぷりと中指を侵入させる。
「ひっ――!!!」
一瞬でキツく締まる後孔が、滑りを帯びた指には抵抗しきれずに侵入を許す。
性急に2本目の指も添えると、拒む締めつけを無理やり押し開くように、ずるずると飲み込ませた。
「あ…あ゛…いだいっ…痛、ぁ」
ひくひくと泣きだす奥村くんに、小さくため息をつく。
(やっぱ相当痛いんかぁ、これ。)
若干面倒臭くなったけれど、興味の方が勝っているので、どうにか気を紛らせようとできるだけ甘い声で話しかける。
「奥村くん、ごめんな?気持ちよぉしたるから、今だけ我慢してくれん?」
指を入れたまま、横から近づいていって、朱に染まる頬にキスを落とす。
涙に濡れたその目尻にも。
ゆっくり頭を撫でてやると、とろん、と表情が蕩けたのを見逃さなかった。な?と優しく言うと、奥村くんは、こくりと小さく頷いた。
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