01 Invader-2 | ナノ


Invader(2/2頁)


俺は俺のことをとてもよく理解している。

自分がメンクイなことも、フェミニストなことも。

面倒臭がりなことも、そこそこ冷酷な人間なことも。

それでも最低限のモラルは守っているつもりだ。

自己採点なら自分に100点あげたいくらいだ。


それに、優しさが時に残酷なことも知っている。


ふと、昼間のことを思いだした。



顔はタイプじゃなかったけれど、髪の綺麗な子だった。

『髪、ほんま綺麗やねぇ。』

そう思ったから、そう言っただけ。

触ってみたかったから、手に取っただけ。


その子の告白を遮ったのは、二度と俺なんかを好きにならんように。


俺は綺麗なものは綺麗だと、可愛いものは可愛いと、ただ愛でていたいだけ。





そう、愛でたいだけ。

困ったことに、彼は俺のタイプのど真ん中なのだ。


うとうとしながら授業を受ける、その姿を斜め後ろから見ながら思う。


柔らかな猫っ毛に、細くてしなやかな体。

女の子みたいに小さな顔と、すべすべできめ細やかな白い肌。

大きな猫目は今は伏せられているけれど、それを縁取る濃紺の長い睫毛。

つんと尖った小さい鼻。

無防備に薄く開かれた唇があまりに柔らかそうで。


「男の子やなんて残念すぎるわぁ…」

「なんかゆうたか?志摩」

「いや…、別に?」



それでも、なぜか、悪戯に触れてしまうのを止められない。

少し、ほんの少し触れるだけで、白い肌が朱く染まっていく。
頬から耳、首筋まで朱く染めて俯くその姿は愛らしすぎて。


その反応は、まるで俺に触れられることが嬉しいみたいに。


思いだして、ふふ、と 声が漏れた。

「かぁわい。」

くるくるとシャープペンシルを回しながら、ぼそりと呟いた声は、誰にも聞こえることなく空気に溶けた。














「明後日の任務、俺と奥村くんと出雲ちゃんの3人やねんてぇ」

「え…?」


一瞬、すぐに返事ができなかった。


志摩とは、最近あまり普通に喋れていない。
なぜか、心臓が落ち着かない。

「楽しみやなぁ、海!」

「…そ、そうだな…!」

予想外に、普通にへらりと笑いかけられて、思わずほっとする。


よかった。普通の会話だ。
心臓はトクトクといつもの速度で打っている。


「朝早ぇーのかな!?」「2泊3日やってー」「浮き輪持って行く?」


そうだ。なんでもない。

ちゃんと、トモダチの会話だ。


あの時、志摩の唇が触れた額が、熱い気がしたのはきっと気のせいだ。Invader
(侵略者)





こんな感じの志摩ですが大丈夫でしょうか…?



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