カルバリの丘 後編
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「あ…ぁ…」

閉じられない口から唾液が伝って、机にぽたぽたと落ちていく。

朝からずっと、もう時間もわからないほど、ずっと快感を与えられ続けて、ずっと解放されない前が苦しくて。

頭の中が真っ白になって惚ける脳に、じくじくと溜まったままの熱が侵していく。

「ほら、ちゃんとイけたでしょ?」

耳元に雪男の熱い息がかかり、密着した腕も、背中も、そこら中が熱くて。

「っアう…!」

雪男の熱を少し引き抜かれただけで、腰が抜けそうになる。

「ふふ。兄さんのナカ、僕が出で行くのが嫌みたいだけど…どうする?」

「っン、…ぁ…あ」

ねっとりと雪男の舌が耳の中に入ってくると、鼓膜のすぐ向こうでぐちゅぐちゅと水音が響いて、背中から腰に痺れが走る。

「ぁう…や…め、っ!っんあ゛!」

逃げるように顔を背けると、ぎちぎちに埋まっていた雪男の自身が抜き去られた。

「は、あぅ、……っぅ」

内部の喪失感に息を吐くと、どろりと液体が太股を伝う感触がして、思わず息を詰める。

「っあ…っ」

それをすくうように雪男の指が太股をなぞり、つぷりと苦もなくその指をのみこんでしまった。

「残念だけど、もうすぐチャイム鳴っちゃうから。」

「っっっ!!」

雪男の言葉に、完全に忘れていた現状を思い出す。
学校、なのだ。
いつ人が来てもおかしくない、場所なのだ。


「ゆきお、っ」

「…うん、だから…帰ろうね。兄さん。」

柔らかく笑った雪男は、鍵を取りだして奥の資料室へと繋がる扉に差し込むと、ふわりと俺を抱えて、寮へと繋がる扉をくぐる。
授業の終わりを告げるチャイムが聞こえて、扉は閉じられた。









「あ、あ…ぁあ…ぅ、ぃあ…っ」

喉がカラカラに乾いて、掠れて引き攣れるような声が勝手に、喉から零れていく。

「すごいね、兄さんのナカ。…もう僕の形、覚えてくれた?」

「や、…知らな、っあう!」

雪男のベッドが軋む音。
耳を塞ぎたくなるような水音。
言葉にならない俺と、優しそうな雪男の、声。

それ以外の音を無くしたように。

「ひあぁ――っや!やめ…っあ、あぁっ」

何時間も戒められた竿をずりずりと擦り、先端を抉られると、目の前がチカチカする。

「あぁぁ…っふあ…!さ、わんな、っ」

「ふぅん?…また、後ろだけでイきたいんだ…?」

「っ!!ち、が…っぁあぐっ!!」

乱暴に腰を掴まれて、がつがつと奥を穿たれると、何も考えられなくなる。

「あうぁ…っ!ゆき、ぃ…もぅっ、あ゛!!」

脳みそが快感を追うことでいっぱいいっぱいになってくる。

もう無理なのに、ひどい快感に止むことなく苛まれて、助けを求めるように、雪男の首に手を回した。

「随分かわいいことするんだね。どこで覚えてきたの?志摩君にもこうやって手を回した?」

「っしてな、っあぁ…!!」

奥を掻きまわされて、びくびくと体が勝手に雪男を締めつける。

「っ、誰にでも触らせるんだ…」

「ちが、う!っあれは…しっぽ、バレるっ、から…あぅっ」

どれだけ刺激を与えられても射精できない自身に与えられる快感は、もう苦痛でしかなくて。

「突き飛ばしてでも、っ…逃げればよかったのに…」

「っそん、っ怪我…する、っはぅ、ゆき、みたい、にっ…」

「っ…傷付けてでも逃げろよ!触らせんな!僕以外に…!!っ…触らせないでよ、お願い…兄さん。」


俺をきつく抱きしめている体が、まるで何かに怯えるように小さく震えていた。


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