カルバリの丘 後編
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ゆら、と雪男の周りの空気が、揺れた気がした。


志摩に銃口を向ける雪男の眼は、見たこともないほど冷たくて。

けれど、俺を呼ぶその声はひどく不安定で。


まるで、何かに、怯えているような――


「どうして…僕を裏切るの」

そう呟きながら、俺の両頬に冷たい両手が添えられる。

思わず「ごめん」と謝りそうになって、でも違う気がして、口を噤んで言葉を探す。


考えているうちに強い力で腕を引かれ、抱きしめられた。


「…燐」


「っあ、」

ただの名前なのに。
雪男が口にするそれは、なぜか俺の心をざわつかせ、甘い痺れを呼ぶ。
びくりと体に力が入って、中に埋められたままのソレの存在を思い出した。


「…我慢できなかった?…だから、志摩君を誘ったの?」

「違っ…!志摩は、ぐうぜん…っあア!」

俺を抱きしめていた腕が、そのまま背中伝いにするりと降りて、ぐ、と指が異物が入ったままの入り口を下着の上から押し上げる。

連動して奥まで動くソレの感覚に、びりびりと背筋に痺れが走った。

何度もぐっ、ぐっ、と押し上げられる感覚にいちいち体が跳ねて、逃げたくなる。
しかし抱きしめられているせいで、ほとんど身動きも取れず、唇を噛みしめることしかできなくて。

「っぅ…んン…!っは、ぁ」

萎えていた自身がじわじわと熱を取り戻し、同時に下肢を締め付けられる苦しさも戻ってくる。

「直接触れてないのに、もう気持ちいいんだ?」

「…っっ!!」

まるで嘲笑うかのような雪男の言葉に、涙がじわりと滲んでくる。

「っあ!!…やめ…っ!!」

腕をほどかれると、重ねて履かされていた下着を2枚一度に引き下ろされ、半勃ちの自身が外気に晒された。

「きつそう、だね。」

膨れた睾丸をやわやわと揉みこまれて、腰が抜けそうになる。

「ふぁ、あ…、そ、れっ、やめ…」

思わず雪男の両肩にしがみ付くように手を置いて、崩れそうな体を支えた。

そこから手を離してくれたものの、つつ、と手を後側へとずらすと、前と後ろの丁度真ん中あたりの皮膚を、微かに押すようにして撫でられる。

「ぁう…、ぅ、んっ…ぁ」

強烈な快感ではない、ぞくぞくと腰が痺れるようなその感覚に、口からは意味のない音ばかりが零れて。

まるで雪男の手のスペースを空けるかのように浮いた腰が恥ずかしい。

「う、ん、ン…!」

「腰、揺れてるけど?」

「そ…んな…っひ!っああ、あぁぅ…っ!!」

雪男の手が、ずっと後ろに埋められていたソレを、ずるずると半分以上一気に引き抜いた。
その排泄感に似た感覚に、吐き気すら覚えるのに、腰が抜けるような快感に襲われて、頭の中がぐちゃぐちゃになる。

「は、っあ…っふ、」

「ふ、抜くとき気持ちいいんだ?…じゃあ、もう一回入れてあげる。」

「あ、や…だっ、ぅんんン…!」

また奥までつぷつぷと幾つもの球体が埋まっていって、気が付いたら、雪男の肩に顔を埋めるようにしてしがみ付いていた。
滲んだ涙は落ちることなく、雪男のシャツに吸い込まれていく。

「…は、っは、はぁっ、」

「…兄さんはこれで気持ちよくなれるんだもんね?…僕なんかじゃなくたって。」

「、…ゆ、きお…?」

ひどい言葉を言っているのは雪男のはずなのに、どうして。


――どうして、そんな苦しそうな顔、するんだ――


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