カルバリの丘 前編 (6/6頁)
右手で奥村くんの細腕を纏め上げると、縫い付ける。
(なぁ、なんで、本気で抵抗せぇへんの?勘違いしてまうやんか…)
奥村くんの下半身に手を伸ばして、下着越しにそれに触れる。
その瞬間、手に当たった感触に、違和感があった。
竿の根元と、カリの付け根の2か所に、固い輪のようなものが嵌められている。
「…?なんか…何や?これ…」
ぎくりと体を強張らせた奥村くんは、焦ったような顔をして、目を泳がせた。
「…っなんでも、…なんでも…する、からっ……頼むから、見んな…っ!」
その言葉に、奥村くんのそこがどうなっているのか、悟った。
「なんでも…なぁ?」
真っ赤な顔で、涙を滲ませて、見上げてくる奥村くんの両手を拘束して。
不安に揺れる瞳にも、首筋を伝う汗にまで、ドクリと心臓が鳴る。
「…ほな、この口で…シてくれはらへんやろか。」
そう言うと、紅く色づく唇を指でなぞる。
真っ赤になってきつく目を瞑ると、決心したように押さえていた手首から力が抜けた。
そっと、黒板に押しつけていた手を放すと、奥村くんは俺の目の前で膝をついた。
そして躊躇ったあとに、震える手で、俺のベルトを外しはじめた。
「恥ずかしいやんか〜。早よ…舐めてぇな」
外気に晒されたまま放置されている自身が虚しく、奥村くんの顎を掴んで上を向かせると、蒼眼が揺れた。
「っあ…」
震える唇が、わずかに、先端に触れる。
ドクリと、熱が集まってきて、思わず自身を押しつけた。
「んむぅ…!!っん゛…!」
ずるりと喉の奥まで一気に差し込むと、苦しそうなうめき声が聞こえる。
ひどいことをしていると頭では分かっていても、こんなチャンス、見逃せるわけない。
ぴちゃぴちゃと淫猥な音を立てて裏筋に舌を這わせ、先を口に含んでは先走りを舐め取られ、今度はずるりと奥まで温かい咥内に飲み込まれる。
「っは…、なぁ、いつも、っこんなん、してんの?」
奥村くんは、目を瞑ったまま、答える様子もなく、必死に口を動かしている。
(これはこれで…えぇ景色やけど)
「童顔、やのに、っうまいて、ははっ、こーゆー…っギャップ、萌えるわぁ」
「っ、…んぐ…っ」
朱に染まった目尻から、ぽろりときれいな雫が落ちた。
「これ、若先生に…、っは、教え、られたん?」
そう言って頭を撫でると、ぴくりと、今まで閉じられていた蒼眼が、こちらを見た。
「そのまま、こっち、見ながら咥えてぇや。」
はぁ、と自分から零れる息があまりに熱くて。
(どんだけ興奮してんねん、俺。)
そう思っても止められなくて。
声が、聞きたい。
右足をずらすと、奥村くんが膝をついているその間にそっと割り込ませる。
「んむっ!!っあぁああアっ…や、あ、触ん、な…っ!」
右足を上げて、足の甲でぐにぐにと股間を刺激してやると、奥村くんは俺のものをずるりと口内から引き抜いて、掠れた声を上げた。
「えっらい声。ここ学校やてこと、忘れてへん?」
「っ…!!」
間に割り込まれている足を外そうともがく奥村くんに、今度はつま先で、後ろの方をぐりぐりと刺激する。
「ぁ…!!っひぅ、や…め…っ」
「…なぁ、男同士て、ここ、使うんやんなぁ…?」
剥そうともがいていた手は、いまやしがみ付くように俺の足に添えられているだけだ。
「そんな、気持ちえぇん?…ここ。」
「ぁ、あ、っう…ぁ…」
ぴくぴくと、奥村くんの体が反応する。
まるで服従するような体制に、ぞくぞくと征服感が背筋を這いあがった。
「っ、は…あかん、奥村くん。もっかい、舐めて。」
――声は聞きたいけど、口放されるんが難点やな。
悪いけど、もう我慢できそうにあらへんわ。
震える紅い舌を出して、カリ首まで口の中に収まったところで、がしりと奥村くんの頭を掴んで、前後に揺さぶった。
「んんん!!!んぐ!!」
苦しいのか、奥を突くたび、ぎゅうと喉が締まって気持ちいい。
「っは、っも…出そう、っ…!」
ごぷりと音が鳴りそうなくらい、大量に精液を口内に吐きだして自身を引き抜くと、奥村くんが吐きだしてしまう前にえりあしを引っ張って上を向かせた。
「っ―――!!!」
髪を引っ張られる衝撃で、ごくりと喉が嚥下する。
「っ!げほっ!! けほっ!」
床に蹲って盛大にむせる奥村くんに、「ごめんなぁ」と声をかけると、起き上がらせてあげようと、右腕を掴んだ。
「…?」
俺の方を見上げた奥村くんは、汚れたままの口元は半開きで、泣き腫らして朱なった目元が扇情的で、跪いたまま茫然としていて。
そのさまが、とても、綺麗で。
「奥村くん…?」
ガチガチと顎を震わせて、眼を見開いた奥村くんに、問いかけるが、焦点が合っていない。
「ちょ、どうし…」
俺が言葉を言い切ることはなかった。
奥村くんの蒼い瞳には、彼と同じ、蒼眼の少年が、映っていた。
そして振りかえるより早く。
ゴツリ、と重たそうな金属音が、自分の後頭部に押しつけられた。
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