直者の嘘
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「わっ!ゆきお…!?」

洗い場へと手を引いてタイルに座らせると、上半身にシャツをはおっただけの姿の兄さんに、シャワーを頭からかける。

「わっ、冷たっ…!…ひあっ!?」

とっさに目を瞑った兄さんに、反対側の手でボディソープを手にとり、内股から腹部、もちろん兄さんの自身まで、掌で撫でるようにして洗う。

「ゆ、きっ…自分で、洗うから…っや…!」

「ここ、触られたり、した?」

「…っ、ゆき、お、やめっ…」

否定の言葉しか紡がない兄さんの自身を、ぐちゅぐちゅと泡立てて擦ると、びくびくと体を震わせて反応する。

後孔に指を這わすと、ぬめりのおかげで ぷちゅ、と抵抗なく埋まった。

「ああ、あぅ、や…っ、苦しっ…」

2、3度抜き差しすると、すぐに2本目の指を添えて一緒に埋めていく。

「ねぇ、ここ、柔らかいんだけど。」

「っ!!!ち、ちが…!っほんとにっ…し、てない…!」

ぼろぼろと涙を零して「信じてくれ」と許しを請う兄さんに、「僕は真実だけが知りたい」と耳元でささやくと、ようやく、志摩君に触らせたことを自白した。

「…僕の手じゃなくてもイっちゃうなんて、ひどいね兄さん。」

そう言って目を伏せると、兄さんは慌てて覗きこむようにして視線を合わせ、ゆきお、と僕の名前を呟いた。

「いっあ!!」

冷水を浴びて冷たくなった兄さんの、身体に張り付いていたシャツの胸元から、ぷくりと紅い飾りが浮かび上がっていて、思わずシャツの上から噛みついた。

「痛かった?ごめんね。」

シャツを肌蹴させると、まるで温めるように、癒すように、露わになったその突起を口に含む。

「は、ふ…ぅん…!」

「ねぇ、ビデオの内容って、どんなだったの?」

「え…」

もっと恥ずかしいことをしているというのに、言葉にするのが恥ずかしいのか、もごもごと言葉を濁す。

「興奮したんでしょ?教えて、兄さん…」

「っっ…!」

耳の奥まで、舌で蹂躙すると、指を挿入したままの入り口がきゅうきゅうに締まった。

「あ…っ、女の子、がっ、忘れ物…あっ…せんせ、にっ…」

左耳を唾液でべたべたにしてから舌を引き抜く。
後孔に3本目を入れても、前立腺をわざと避け、入り口の辺りでぐちぐちと弄っていると、その物足りなさに、無意識に内股を僕の腕に擦りつけてきた。

抜けだのやめろだの、いつも可愛くない言葉を言うくせに、指を締めつける蕾も、擦り寄せてくる足も、薄紅色に染める頬も、溶けた瞳もまるで僕を誘うように。

「ん、んっ、…っあ、」

粘着質な音を立てながら指を引き抜くと、僕は洗い場に置いてあった椅子へと座り、前をくつろげた。

「兄さん…」

くい、と腕を軽く引くと、少しためらった後、おずおずと舌を僕のものに添えるようにして、舐め始めた。

最初より格段に上達したその舌使いに、思わず笑いがこみ上げる。

「っ…本当に、勉強は実践派、ですね。っ…奥村くん?」

そう言って前髪を掻き上げてやると、悔しそうな、悲しそうな瞳が揺らいだ。

鼻から微かに抜ける声が、風呂場に響く。

「ん…っ、んむっ…!」

ずるずると奥まで含まれると、喉の奥の筋肉がきつく締まって気持ちいい。
そして、じわじわと目尻に涙を滲ませながら、それでも奉仕し続ける兄さんが可愛くて仕方ない。

「っ、ねぇ、汚していい…?」

風呂場だし。と付け加えても、意味がわからなかったのか、僕のものを口に咥えたまま、子供みたいな目で見上げてきた。
どくり、と下肢に熱が溜まる。

両手で兄さんの頭を掴むと、半ば強引に抜き差しをする。

「んぅぐっ!っん、…っ!」

くぐもった、苦しそうな声が耳に届いたが、緩めてやれそうにない。
僕の先走りと兄さんの唾液が混じって、口の端からは僅かに白く濁った液体がぼたぼたと零れ落ちる。

「は、気持ちいい。兄さん、っ目、瞑っててね…」

「っぷは…!?」

びゅくびゅくと白い奔流が兄さんの顔を汚していく。

茫然とした兄さんの顎からはぼたりぼたりと白濁が伝い、胸まで汚していた。

「あ…」

少し間をおいて、自分の状態を理解したのか、真っ赤になって僕から逃げようとする。

「恥ずかしいの?いつも飲んでるのに。」

そう耳元で囁くと、さらに執着で真っ赤にした顔で見上げてきた。

「そんなっ…はぶっ!」

温かくなったぬるま湯シャワーで、兄さんの顔や胸を綺麗にする。

「…っ」

恥ずかしそうに下を向いたまま、時々こちらを伺うようにちらちらと視線を送ってくる兄さんが可愛くて、もっといじめたくなる。


――その資格が僕にはあるはずだ。
だって、兄さんは他の人に体を触らせるという重罪を犯したんだから。



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