十時間
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※試験管ぷれい


ぴぴぴぴぴぴ、と。
意識の遠くから、規則的なアラーム音が聞こえる。

「う、ん…」

頭の中がぼうっとしたまま、手さぐりで音源を探す。

暫くして、ようやく目覚ましが雪男のベッドにしかないことを思い出した。

少し体を起して、辺りを見回す。

部屋の中に弟の姿はない。


目覚ましを止めようとベッドを体を起こした瞬間、ずくり、と体がひどく重いことに気付く。

もう、どこも痛くないのに。

「!?っう…」

数歩歩いたところで、感じたことのない違和感に、びくりと立ち止まった。

太ももをどろりとした液体が伝う。

ぱたた、と それが床に落ちる音を聞くと同時に、膝ががくりと折れた。

「うあ、っ」

まるで子供が粗相してしまうように、それを止められない。

腹部を押さえてうずくまり、ぼたぼたと自分の中から吐き出されるその感覚に歯を食いしばって耐える。

誰も居ない部屋とはいえ、あまりの恥ずかしさに顔に熱が集まってくる。

「、っ…」

恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい。

じわりと涙が浮かび、昨日のことが鮮明に思い出された。


あれからもう一度、くちの中に雪男のものが入ってきて、顎が痛くなるまで出て行ってはくれなかった。

何度も何度も雪男が気持ちいい場所を教えられ、必死に舌を這わすことしか考えられなくなって、また、口の中に出されて、飲むことを強要されて。

そうして「いいこ」だと俺の頭を撫でると、またうまく動かない足を広げられて、何度も最奥を突かれた。

『僕が入ってるときは、後ろだけでイかなきゃだめだよ』

酷い言葉を優しく囁く雪男の声が、耳について離れない。


いつ、あの時間が終わったのか、全く記憶になかった。

ただ、感覚がなくなるくらいに長時間縛られていた左の手足も、関節がバカになるんじゃないかと思うくらい広げられていた両足も、痛いくらいにだるかった顎も、ずっと雪男が入っていた場所も、もう痛みは全くない。

ただ、どうしようもないくらいの気だるさが全身を包んでいる。


「学校……、もう、いいか。」

そんな気力などなかった。

でも祓魔塾だけは、行かなければ。

遅れたくないし、なによりこのために、あの教会を出てきたのだから。


風呂に入って、洗濯しよう。

そんなことをしたって、なかったことになどできないけれど。


開け放たれた窓からは、さわさわと木々が揺れる、そんな平凡な音だけが聞こえていた。


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