茨の海 (1/4頁)
「な、…ゆき、あの、そろそろ、その、」
何て言っていいかわからず、言葉に詰まる。
だって、まだ、ゆきおが、ナカに入ってる。
意識するとぎゅうとナカに居る雪男を締め付けてしまって、雪男のモノの形を感じてしまうはめになった。
「ふふ、兄さん、締め付けてきてる」
気付かれないようにするつもりだったのに、いや、そんなこと無理だってわかってるけど、言われると余計恥ずかしくてたまらない。
そうしてまたナカを締め付けてしまう。
「ンン…!!」
ずず、と内壁をずりずりと擦りながら、ゆっくりと引き抜かれていく感覚に眩暈がする。
「は…、きもちい、ずっと、ずっとこうしてたい…兄さん…」
「あうぅ…!!」
抜かれると思っていたのに、もう一度奥まで差し込まれて喉を晒すようにのけ反る。
「ゆ、」
「も一回、シていい、よね?」
「へ…?ぅあ…はぅ!」
ぐちゅり、ぐちゅりとゆっくりと内壁を擦りながら動かされるたび、下肢にじわじわと熱が集まってくる。
「や、いやだ…ゆき…ッ動く、なっ…」
「どうして?」
「ううン、ン、あ…っ」
「ね、教えてよ兄さん」
「ひぁ…っ!あ…」
抱きしめながら動かれると、自身がお互いの腹部に挟まれて擦られ、余計に反応してしまう。
縛られたままの左の手足が痺れて感覚がなくなっていく。
粘着質な水音が耳にひどく煩く響いて、逃げたくなる。
恥ずかしい。恥ずかしくてたまらない。雪男は、弟、なのに。
「あああっ、ぅ、ン!」
息を殺して俺の上で腰を揺らす雪男は、俺の知ってる雪男じゃない。
兄さん、と呼ぶ、この雪男を、俺は知らない。
「ひ…っ」
どくり、とナカに熱い液体を注ぎ込まれる感覚に、ぞわぞわと背筋が痺れる。
「っッ…は…」
短く息を吐いた雪男が、圧し掛かってきた。
じわり、と、全身から雪男の熱が伝わってくる。
雪男がわからなくて、わからなくて。
唯一、その熱い体が、その熱が、本物のようで。
安心するなんて、嘘だ。気のせいに決まってる。
「…はは、兄さんのナカ気持ち良すぎて、我慢できなかった…ごめんね」
「う…あっ」
ぐずぐずと小さく揺すられると、ナカでじわりと雪男が固くなっていくのが、内側から伝わってくる。
「もう、…ゆきお、たのむからっ…」
「だって、兄さん途中じゃつらいでしょ?」
「いい、もういいからっ…」
「…そんなこと、言わないでよ……僕を拒否しないで、兄さん」
その言葉は、俺を雁字搦めにする、まるで、茨の海だ。
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