10 Period-3 | ナノ


Period(3/4頁)


ローションよりも滑りの悪い自分の唾液でべたべたになったそこに、自身を宛がう。
入り口は急かすようにひくひくと収斂を繰り返し、奥村くんの体がふるりと震えた。

ぐ、と体重をゆっくりとかけると、ゆっくりと飲み込まれるように自身が埋まっていく。
狭い入り口を割り開く感触に、奥村くんが小さく声を漏らした。

「ぁ…っ、うぁ…っ、は…」

「…っ、はぁ、っき、つ…」

ず、ず、と進むたびにしなやかに背が反り、背筋を滑る汗を思わず指で掬った。

「んっ…」

そんな小さな刺激にもびくびくと反応する過敏な体を、なぞるようにゆっくりと腰から脇腹までを撫でた。

「は、ぁっ、…ふ、っ」

言葉の代わりに、艶やかで真っ黒な尻尾が俺の脚にしゅるりと緩く巻き付いた。
その付け根をやわやわと揉みこむように緩く握れば、ぐにゃりと柔らかく蠢く内壁に思わず息を詰める。

「――っ…ちょ、おくむら、くん」

「ん、んっ、んぁ…っし、まぁ、っ」

力の抜けた足が、支えきれずにがくりと崩れる。

「ひ――ぃ、ぁ…っ!!」

繋がった場所に体重がかかり、一気に根元までずずっと飲み込まれた。
ぶるりと痩躯が震え、尻尾がぴんっと伸びる。

「ひ、ぁ、ぁっ」

ぎゅううと蠢いくこの内壁の動きは、奥村くんがイく寸前の合図だ。
さすがにこの場を汚されると後が面倒なことを一瞬で判断した俺は、ぎゅ、と奥村くんの自身の根元を指で戒める。

「ぅ、あ…っっ!!」

びくびくと跳ねる体に、思わず持って行かれそうになるのを息を詰めてぎりぎり留まる。
ぎゅうぎゅうと締めつける内壁は達したことを示していたが、もちろん俺の指によって遮られているソコは、とろりと蜜を零しただけだった。

「ぁ…ぁ…っ」

「ほんま奥村くん、女の子みたい。出せんようにしてもイってまうんやもん。」

未だにびくびくと長い絶頂の波に襲われている奥村くんは、はあはあと荒い息を漏らし、崩れ落ちないように立っていることすら必死みたいで。

「でも俺まだイってへんで、」

「っンぅうう――!!」

右手を伸ばして奥村くんの口元をしっかり塞ぐと、絶頂の余韻でぎゅうぎゅうと苦しいくらいに締めつける内壁を擦りあげる。

ぽろぽろと零れた涙が、俺の指を伝っていく。

「イったすぐに動かれるん、好きやろ?」

真っ赤な耳を噛みながらそう言えば、いやいやをするように頭が左右に揺れた。

「うそつき。」

ぐちゅりと一番奥まで入り込んで、奥村くんがびくびくと背を反らした瞬間、ガタン!と扉にぶつかる音が聞こえた。


『あ〜俺ちょっと休憩!』

誰かがこの用具室の、体育館側の扉に凭れているのだろう。
ひくりと呼吸すらもやめてしまった奥村くんと大して変わらず、ぴたりと動きを止めた俺も、じわりと変な汗が浮かぶ。
サボってんなよ、うるせぇ、俺も休憩しよ、お前もかよ、
そんな会話が行われている扉の反対側で、セックスしてるだなんてあいつらは知りもしないんだろう。知られても困るけど。

予想外の驚きにようやく落ち着いた俺は、奥村くんをそっと覗き見る。
指の内側で小さく震える唇からは、は、は、と声を殺した短い呼吸が再開されていた。
それでもまだ驚いた表情のまま、目を見開いて怯えたように扉をじっと見つめるその姿に、じくりと欲情する。

「声、殺しや。」

口を塞いでいた手をどけると、ずるずると自身を引きずり出していく。
奥村くんは、ひ、と小さく鳴いて両手でしっかり自分の手を塞ぐと、涙目のまま振り返った。
ぐちぐちと小さく揺すりながら震える指を舐めてやれば、ぎゅうっと瞑った目からぽろぽろと涙が零れ落ちる。

「ん、ぅ、っ、…っ」

そろりと伸ばした手で奥村くんの自身に触れれば、ぽたぽたと先走りを零しながら上を向いていて、俺は奥村くんの耳元に唇を寄せたまま小さく哂った。

「聞かれるかもせんのに、見つかるかもせんのに、気持ちよぉなっとるん…?」

「っ――、ぅ、」

ぎゅうっと締めつけがきつくなって、奥村くんの太股がびくびくと痙攣し出す。

跳ねる腰を押さえつけるように両手で掴むと、締めつける内壁を割るようにして律動を繰り返す。
扉の向こうの声が去って行ったのに、奥村くんは気付いているだろうか。

「ん…!ぅ、っっ、ふ、ぁ…っ」

久々の狭い胎内に、動き出してしまえばあまり持ちそうになかった。
二人の荒い息と、粘着質な水音と、衣擦れの音と。

「し、ま…ぁっ」

欲に濡れた、堕ちた声が俺を呼ぶ。

蕩けた表情は彼にとても似合わなかった。

獣の交尾のような格好で、無理やり首だけをこちらに向かせて強引にキスをする。

「っっん、ぁ―――」

悲鳴を飲み込むように、一番奥を抉りながら奥村くんの自身を擦りあげると、すぐに俺の掌にびゅるりと白濁が吐き出された。

「っ、はあ、あ、っは、」

ぎゅうぎゅうと締めつけられる感覚に、つられて一番奥で精を吐き出す。
最後まで一滴残らず注ぎ込むと、どうにか跳び箱に引っ掛けることだけは避けられた奥村くんの精液が、俺の指の隙間からぼたぼたと床に零れ落ちるのに気付いた。

「…ほんま、キス好きやなぁ、奥村くん。」

俺の声にびくりと体を揺らした奥村くんが、咄嗟に扉を見つめる。

「もう向こう行ったで。気付いてへんかったん?」

「き、気付かなかった、…」

あからさまにホッとした様子の奥村くんに、掌に溜まった白濁を目の前に翳してやる。

「あーあ。汚したらどうするんやっけ?」

「あ…っ」

「ほら、きれーにして。」

できるやんな、と息がかかるほど近く耳元でそう囁けば、震える怯えた舌が、俺の掌の中の精液をぴちゃりぴちゃりと舐め始めた。

「子犬みたいやなぁ。おいしいー?」

「っ、おいし、くな…い、」

自分の精液で口元を汚すその姿があまりにも卑猥で、なんだか嬉しくて、そして悲しくて、俺は哂った。




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