鎖 (3/3頁)
痛い、苦しい、気持ち悪い――
ぎちゅ、ぎちゅ、と気持ち悪い音が聞こえるのは、自分の下半身からで。
受けたことの無いその鈍痛は、ついさっき斬られた時の傷とは全く違う痛み。
激痛の走った入り口はもう傷が塞がっているのか、治らない内臓を掻きまわされる重い痛みと苦しさだけが消えてくれない。
「うああ、ああ!」
熱い棒でお腹の中をめちゃくちゃに掻き回されて、吐き気で体が勝手に震えた。
これが、アーサーの言う、「痛めつける」ってことなのか。
足を斬られた時も、肩から腹を斬られた時も、鋭利な痛みは頭がおかしくなるほど痛かったけど、すぐに癒えた。
「ひぐっ、う、あ゛、あ」
なのに、「傷」じゃない「苦しみ」は一向に癒えてくれる気配はない。
体の内側から内臓を突き上げられて苦しさに涙が零れ落ちる。
見られたくないのに、俺の前髪を掴んだままの男は、へらへら笑いながら俺の頬を伝う涙をべろりと舐めた。
「っあー。そろそろ出そう。」
「おい、外に出せよ。」
「強姦は中出しに決まってんだろ、っ――、」
がつん!と骨が軋みそうなほど深くを突かれて、かは、と吐き気に噎せた瞬間だった。
「ひ、っ…ぁ…あ…っ!?」
どくり、と熱い棒が脈打って、ナカで溶けたんだと思った。
どろどろとお腹の中に重い湯が溜まっていくみたいに吐き出されるもの。
ずるりと引き抜かれる感覚も吐きそうで、頭がぐらぐらした。
ぐるりと体を反転させられる。そうして髪を掴んでいた男が、ぐいっと俺の頭を折り曲げるように腹の方に近づけた。
「ほら見ろよ。初貫通、初中出し!おめでとーひゃははっ」
視界に映った自分の下肢より、その向こうの男を見た瞬間、頭の中が真っ白になった。
「い…いまの…っ、そ、れ…っ」
「あ?…なにコイツ、もしかして突っ込まれてんの解ってなかったわけ?」
カチカチと歯が鳴った。男の下肢は肌蹴ていて、ソレには俺の血がついてる。
今の、あの熱い棒は、こいつの――?
「ひゃはっ、まじで?マジで今気付いたの?うっわー」
「俺にオンナみたいに犯されたんだよ、お前。」
かあっと沸騰したみたいに顔に血が上る。
おんな、みたいに、おかされた――?
「おもしれぇコイツ。レイプ。強姦。わかる?」
「あ…あ…そんな…っ…や、いやだっ!離せよ…!!」
力の限り暴れようとしたけど、アーサーが唱えた変な詠唱のせいで全く力が入らなくて簡単に押さえつけられてしまう。
「い、やだぁああっ!!!」
「ぎゃああ!!!」
ぼおぉっと蒼い火柱が目の前の男を包んだ。
「うわ!!」
髪を掴んでいた男を始め、周りを囲んでいた男が全員後ろに飛び下がる。
「うあ゛ああがっ…!」
炎に包まれる男に大量の聖水がかけられたのと、俺の首をアーサーが掴んだのは同時だった。
「あ…あ…」
「殺人未遂。処刑に値する罪だとは思わないか?魔人の仔よ。」
視界が蒼い。
さつじん?
アーサーに首を掴まれたまま下を見降ろすと、聖水によって消化された男は、酷い火傷で床をのた打ち回っていた。
「俺…おれ、…っ」
どんな仕打ちを受けたとて、してはならないこと。
――悪魔の力で、人間を殺すこと。
「……っ」
冷たい眼をしたまま俺の首を掴んでいるアーサーを見上げる。
さっきまで俺の中にぐるぐると渦巻いていた憎しみも、怒りも、どこかへ行ってしまった。
制御できなかった炎への恐怖が変わりに渦巻き、ぐ、と首に回る指に力を込められた瞬間、俺はそっと目を閉じた。
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「………」
掴んでいた手を離すと、奥村燐はげほごほと何度か噎せ、不思議そうに見上げてきた。
「な…んで…」
「なんだ、殺して欲しかったのか?」
「っちがう!!」
今まで凌辱していた男共は怯えたように後ずさり、俺とコレの経緯を遠巻きに見ている。
ちらりと大火傷で呻きながら床を這いずり回る男を一瞥すると、嘲笑が漏れる。
別に死んだとしても構わない下らない男共だ。
むしろ周りの全員を焼き殺すと踏んでいたのに。
まぁ、一人でも自身を苛むには十分なようだったが。
「…罪の対価は支払われよう。」
「たい、か…?」
意味を理解できないのだろう。
最年少祓魔師と謳われた弟とはかけ離れた、小鳥程度の頭脳しかもたない目の前の子どもに呆れながらも背を向ける。
だが、弄ぶには小鳥のように無知の方が面白い。
「片しておけ。」
「はい。」
先ほどまで座っていた椅子の傍で穏やかに佇む男に声をかけると、自室へと繋がる鍵を扉に差し込んだ。
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だ、大丈夫、です、かね…!?
あとはラストまで流血沙汰は控えるつもりですが!
というかラストしか考えてないから非道プレイに走るやもしれませんが←
がくら様、次回よりきっちりえろす詰め込んで行きますんでー!!
それにしてもやはり複数難しいですね!二人+アーサーが限界ぽいです。取って付けたように周りの描写が…うう。がんばります!うす!
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