りの泪
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キスのフェイントに綺麗にひっかかって、痛みに顔を歪めた兄さんを間近で見つめた。

兄さんが怪我をするのは嫌だし、兄さんを傷付ける奴には吐き気がするほど憎い。
でも、僕が兄さんに与える痛みは別。だって、傷付けるつもりなんて微塵もない。

だからごめんね兄さん。これも勉強なんだよ。そのうち、痛みも気持ち良くなっちゃうくらい、僕が教えてあげるから。

すでに皮膚の薄い敏感な皮膚を噛むと、嬌声と共にピクリと兄さんの自身は固さを増すようになった。

噛んだ後は舐めてもらえるってわかったから?


悪魔は快楽に弱いという。というか、全ての感情に素直だ。

(素直な言葉はあまり出てこないけどね。)


上に折り曲げた左足の裏側を噛むと、また悲鳴のような嬌声があがる。

「そ、そんなとこ…っうぎゃ!!」

噛むな、と否定の言葉が上がる前に、尻尾を少し強めにひっぱってみた。

「あ、ごめんね。痛かった?…ごめんね兄さん…」

涙目になっている兄さんの自身は、くたりと痛みで固さをなくしている。

「ほんとにごめんね…」

だから、もう一度勃たせてあげる。


力の抜けた体は、服を脱がすのにはちょうど良かった。

ハーフパンツと下着を一気にずり降ろして、ベッドの外へ投げる。

うわ!と色気のない声を出して、体を折りたたんで端へと逃げてしまった。

まるで、怯えながら威嚇する人見知りの猫みたい。

しゅる、とネクタイを外しながら近づくと、逃げ場のない壁際で、兄さんはさらに体を縮こまらせた。

「兄さん…」

シーツを掴んでいた左手をとり、ちゅ、と手の甲に口づける。

不思議そうに見ている兄さんにさらに近づいて、固く結ばれた唇に自分のそれを重ねた。

ちゅ、ちゅ、とバードキスをしながら、その唇の隙間に舌を這わす。

兄さんの意識が完全にそっちに行ったところで、先ほど口づけを落とした兄さんの左手首に、ネクタイを静かに巻きつけた。

きつく閉じられた前歯を舌でなぞりながら、兄さんの左手を柔らかく掴んだまま降ろしていく。

ちゅ、と最後に音を立てて唇を離すと、真っ赤になった兄さんに、これからすることを先に謝っておくことにした。

「ごめんね?兄さん。」

何を、と問う時間も与えず、先ほど左手首に巻きつけたネクタイの残りを、左足首にきつく巻きつける。
すぐにほどけてしまわないように。

「!?雪男?何やって…わっ!」

そのまま右腕を引っ張って横たわらせると、結ばれた左手首と左足首が引っかかり、左足を伸ばすことができなくなった。

「っちょ、これ、ほどけっ!」

右手首を押さえつけ、右足の上に自分の左足をかけて体重を乗せると、兄さんはほとんど動けなくなった。

「ゆきおっ!マジで怒るぞ、ほんとに…っあぐ」

まだ怒ってなかったんだ。
変に感心しながら、空いている右手の人差指と中指を兄さんの咥内へと突っ込んだ。

「口のなかって、熱いんだね。きもちい。」

「んっぐ!ぅ、んんん!」

指を喉の奥まで差し込むと、吐き気を耐えるように喉がひくつくのが見えた。

舌の裏を撫でると、唾液があふれてくる。

ぐちゅぐちゅと咥内を掻き混ぜるたびに卑猥な音がして、ずく、と自分の下半身に熱が溜まるのを感じた。


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