偽りの泪 (3/6頁)
キスのフェイントに綺麗にひっかかって、痛みに顔を歪めた兄さんを間近で見つめた。
兄さんが怪我をするのは嫌だし、兄さんを傷付ける奴には吐き気がするほど憎い。
でも、僕が兄さんに与える痛みは別。だって、傷付けるつもりなんて微塵もない。
だからごめんね兄さん。これも勉強なんだよ。そのうち、痛みも気持ち良くなっちゃうくらい、僕が教えてあげるから。
すでに皮膚の薄い敏感な皮膚を噛むと、嬌声と共にピクリと兄さんの自身は固さを増すようになった。
噛んだ後は舐めてもらえるってわかったから?
悪魔は快楽に弱いという。というか、全ての感情に素直だ。
(素直な言葉はあまり出てこないけどね。)
上に折り曲げた左足の裏側を噛むと、また悲鳴のような嬌声があがる。
「そ、そんなとこ…っうぎゃ!!」
噛むな、と否定の言葉が上がる前に、尻尾を少し強めにひっぱってみた。
「あ、ごめんね。痛かった?…ごめんね兄さん…」
涙目になっている兄さんの自身は、くたりと痛みで固さをなくしている。
「ほんとにごめんね…」
だから、もう一度勃たせてあげる。
力の抜けた体は、服を脱がすのにはちょうど良かった。
ハーフパンツと下着を一気にずり降ろして、ベッドの外へ投げる。
うわ!と色気のない声を出して、体を折りたたんで端へと逃げてしまった。
まるで、怯えながら威嚇する人見知りの猫みたい。
しゅる、とネクタイを外しながら近づくと、逃げ場のない壁際で、兄さんはさらに体を縮こまらせた。
「兄さん…」
シーツを掴んでいた左手をとり、ちゅ、と手の甲に口づける。
不思議そうに見ている兄さんにさらに近づいて、固く結ばれた唇に自分のそれを重ねた。
ちゅ、ちゅ、とバードキスをしながら、その唇の隙間に舌を這わす。
兄さんの意識が完全にそっちに行ったところで、先ほど口づけを落とした兄さんの左手首に、ネクタイを静かに巻きつけた。
きつく閉じられた前歯を舌でなぞりながら、兄さんの左手を柔らかく掴んだまま降ろしていく。
ちゅ、と最後に音を立てて唇を離すと、真っ赤になった兄さんに、これからすることを先に謝っておくことにした。
「ごめんね?兄さん。」
何を、と問う時間も与えず、先ほど左手首に巻きつけたネクタイの残りを、左足首にきつく巻きつける。
すぐにほどけてしまわないように。
「!?雪男?何やって…わっ!」
そのまま右腕を引っ張って横たわらせると、結ばれた左手首と左足首が引っかかり、左足を伸ばすことができなくなった。
「っちょ、これ、ほどけっ!」
右手首を押さえつけ、右足の上に自分の左足をかけて体重を乗せると、兄さんはほとんど動けなくなった。
「ゆきおっ!マジで怒るぞ、ほんとに…っあぐ」
まだ怒ってなかったんだ。
変に感心しながら、空いている右手の人差指と中指を兄さんの咥内へと突っ込んだ。
「口のなかって、熱いんだね。きもちい。」
「んっぐ!ぅ、んんん!」
指を喉の奥まで差し込むと、吐き気を耐えるように喉がひくつくのが見えた。
舌の裏を撫でると、唾液があふれてくる。
ぐちゅぐちゅと咥内を掻き混ぜるたびに卑猥な音がして、ずく、と自分の下半身に熱が溜まるのを感じた。
Next→