◎ 昼も夜も(2/2頁)
「ほら、舌止まっとる」
ぐっと喉奥を突きあげるように腰を動かせば、「んぐ!」と苦しそうな声が上がった。
四つん這いにさせて咥えさせながら、自分で後孔を解せと言えば奥村は戸惑ったように瞳を揺らがせた。
そんな初々しい反応をしながら、いざ指を差し込んでしまえば、ぐちゅぐちゅと自分の孔を弄るのにハマっている。
阿呆のくせに煽るのが上手くて、いつまでも初心な反応をするくせに淫乱で。
自分さえ知らなかった、こんな自分を引きずり出したのは、奥村なのだ。
「なんや、もう3本も咥えとんのか。」
「ふうう、う、むぐっ」
厭らしく反らせた背の上で、漆黒の尻尾が踊る。
それを捕まえて口の中で愛撫してやれば、自身に絡みつく舌が痙攣した。
「は、あっ、すぐろ、あっ、もう…っ」
蒼眼に溜まった涙が、ゆらゆらと水面のように揺れる。
「指咥えて楽しそうやないか。今日はフェラで終わりにしたってもええで。」
優しさを装ってそう言えば、ぐし、と子供のように鼻水を啜って唇を噛みしめる。
「と、…っとどか、ないっ…」
「んー?何がや?ちゃあんとゆわな、わからんで。」
背中から腕を回して自分の指を含ませたくらいでは、到底前立腺には届かないのだろう。もどかしそうに腰を揺らす奥村はまた悔しそうに唇を震わせた。
「ひくっ…すぐろ、ぉ…」
いくら泣いたって甘やかしてはやれない。
童顔で、無垢にすら見えるこの小さな唇から、卑猥な言葉を吐かせるまでは。
「なんや、終わりにするか?…いっつも腰痛い、ゆうしなぁ?」
「い、言わないっ、から…っ…、すぐろ、もう…もうっ」
きっと奥村の体の中で一番素直な尻尾が、しゅるりと俺の腕に巻きついてくる。
「ほんなら、言えるやろ。…ほら。」
くいっと顎を上げさせると、ついに大粒の涙がぽろぽろと零れ落ちた。
自分の胎内から指を引き抜いた奥村が、唾液と腸液で濡れそぼる指を俺の自身に絡めてくる。
「ぜん、りつせん、まで、…っとどかない、からっ………っこれ、ひくっ、…すぐろ、の、…い、い…いれ、てっ…」
ねだらせるのは初めてではないのに、首筋まで真っ赤にしてぷるぷると全身を震わせて羞恥に耐えている。その姿が堪らなく愛おしくて。
「っあ…」
どくりと奥村の手の中で質量を増した怒張に、びっくりしたように小さな声が上がった。
とんっ、と軽く肩を押してベッドに横たわらせると、両足を担ぎあげるように肩に乗せた。
「ぅあ…あっあぁぁああっっ!!」
ぐちゅんっと一気に最奥まで貫いた瞬間、びゅるっと腹の辺りで熱が放たれた。
「ふああ、あ…っ」
ひくひくと小刻みに痙攣する胎内に、思わず息を詰める。
「っは、挿れただけでイったんか、淫乱。」
耳元でそう囁いてやれば、ぎゅうう、と内壁がキツく締まった。
イったばかりで敏感な体から自身を入り口まで引き抜くと、まるで引きとめるように紅く充血した肉壁が捲れあがって絡みついてくる。
「ほら、喰えっ…!」
「ひああう!!あっ!やあ!待っ…!んうう!」
また狭い内壁を掻き分けるように熱を押し込めば、びくびくと奥村の全身が痙攣する。
掲げた両足を奥村の肩に着くくらい折り曲げさせて、がつがつと上から穿つように律動させれば、射精したばかりの奥村の自身からは、だらだらと精液が零れていた。
「あ――!あ――!」
気が触れたように首を左右に振り、どうにか快感から逃げようとするも、逃がしてやるわけもなく腰を打ち続ける。
「やら…ぁ!も、っああっ!!深っ、いあ!!」
「奥村…奥…っ、…燐ッ」
痙攣する足を押さえつけ、まるで孕ませるかのように一番奥底へ精液を一滴残らず注ぎ込んだ。
「ああ、あ…あ…」
開いたままの口から震えた声が零れ、とぷとぷと俺の精液が内壁にかかるのに合わせてびくびくと足が痙攣する。
はあはあと荒い息を吐く口を塞げば、苦しそうな呻き声が口の中に小さく響いた。
「んんう!う!…っぷは、はあっ、は、」
「は、…お前ン中、っ」
そっとひくつく腹部を撫でれば、ぴくりと反応した奥村が小さく呟いた。
「すぐろ、で…いっぱいで…も、もうっ…」
無理―――そう続けられるであろう言葉を遮って、口づけて深く舌を差し込んだ。
「んうー!」
また固さを取り戻した自身を、吐き出した白濁を胎内で掻き混ぜるように抜き差しする。まるで己の精を内壁に馴染ませるように。
「あうう…!!や、やあっ!すぐ、ろっっ!もぉ、ッむり、ぃっ!」
「無理なわけあらへんやろ、ほら、奥村かてまた勃たせとるくせに。」
前立腺を数回擦ってやれば、奥村の自身はまた蜜を零して勃ちあがらせた。
ぐいっと両腕を引いて、挿入したまま自分の腰の上に座らせた。
「ひあ゛!!っうあ!!」
細い腰を掴んで上下に揺さぶれば、震える腕が俺の首に緩く巻きつく。
ただ不安定に揺さぶられてつかまっただけかも知れないが、俺を煽るのには十分だった。
「ひぁア――!!!」
そして奥村の声が嗄れるまで、まるで獣のようにその狭い胎内を穿ち続けた。
*
「う、…う゛ー…」
寝返りを打とうとした瞬間走った腰の鈍い痛みに目を覚ませば、室内は薄暗い。
首を捻って時計を見ると、午前5時を少し過ぎたところだった。
「っていうか…動けねー…」
自分よりも幾分もがっしりとした体に抱きしめられたまま眠っていたらしい。
記憶の最後にはべたべたになっていたシーツはサラサラとした感触で、いつものことながら苦笑が漏れた。
えっちの時はあんなに変態でいつも気絶するまで好き勝手するくせに、目が覚めればシーツも替えられているし、体も綺麗に拭かれているのだ。
(むしろシーツと服は洗濯までしてくれてる)
「…ん、…おきたんか?」
もぞもぞ動いていたからか、夢うつつのままの勝呂に拙い声で話しかけられる。
「うん。すっげぇ腰痛くて起きた。」
唇を尖らせて大げさにそう言えば、勝呂の眼がびっくりしたようにパチンと開いた。
「っすまん!!また無茶させたな。腰さすったるから、うつ伏せに…「ぶはっ!!」
あまりの慌てように耐えきれず吹き出すと、勝呂がぼさぼさの髪のままできょとんと俺を見た。
「嘘だっつの。夜は好き勝手してくれたから、嫌がらせだっ!」
本当はまだ腰はダルいけど、あまりに勝呂が焦るから、この痛みさえ愛おしいとさえ思えてくる。
「はぁ〜、びびらせんなや…いや、まぁ無理させたんはほんまやけど。ほんま…すまん…」
数時間前とは別人かと思うくらいに優しく労わるように髪を撫でられて、思わず眼を瞑って勝呂に抱きついた。
優しくて不器用で心配性で照れたりする勝呂も、わがままで強引で俺を翻弄する夜の勝呂も。
結局どんな勝呂でも好きなんだって気付く。
「頭撫でて。ぎゅってして。そしたら許してやるっ」
夜明けの時間だ。
今から日暮れまでは、俺のわがままの時間。
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桜梨さまへ!
夜だけ鬼畜勝呂とか、ほんっと、萌え滾りました…!
鬼畜っていうかただ変態っていう、あの、萌えリクをきちんと消化しきれなかった感じですが…でも言葉責め勝呂とか書けて楽しすぎました!
そして一番書きたかったのが、勝呂がとまどう燐のポケットから勝手に旧寮の鍵を取り出して開けるとこっていう(笑)なんか、きゅんとしませんか!ごういん!好き!(おちつけ)
勝燐少なくてすみません!どうしても自分で考えるとネタが偏ってしまって。。素敵リクありがとうございましたっ!!
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