◎ 蝶と華(4/4頁)
ぐちょぐちょ、って、やらしい音が耳の中で響く。たまに周りの軟骨を噛まれたり、耳の裏側をべろりと舐められたり。
そんなとこ舐められたことなかったから、知らない感覚に背中がぞわぞわビリビリして力が抜ける。
「耳、気持ち良いですか?」
濡れた皮膚に熱い息がかかって、それにすらびくびくと体が震えた。
「う、ん…っ、はあ、う、」
「兄さん…指、舐めて?」
雪男の声もいつもの声じゃなくって、まるで熱でも出した時みたいだった。だけど口の中に入り込んできた指は俺の体温より少し冷たい。俺にできるのは噛まないように口を開けることだけで、ひやりとした3本の指で口の中を掻き回された。
「ぁむ、う…っんく、」
ぼたぼたと零れた唾液が自分の胸元を汚していく。
「ひ、んっ…!うああ!?」
口の中から指を引き抜かれた瞬間、メフィストに女の子みたいに乳首を抓まれて、雪男の指が信じられない所に入ってきて、いろんな感情がぐちゃぐちゃになって襲ってきた。
「小さい乳首ですねぇ、なんとも可愛らしい。あぁ、見えますか?ぷくりと立ち上がって真っ赤になっているのが。」
後ろから、僅かな膨らみもない両方の胸に手を回されて、親指の腹と人差し指の横側でぐりぐりと捏ねくり回されるとジンジンして勝手に腰が揺れてしまう。
でもその揺れる腰を固定するように、雪男の手が太股を優しく撫で、反対側の手では体内で激しくぬぷぬぷと指を抜き差しされる。
「熱くて狭くてやらしいね、兄さんの孔。指、増やしていい…?」
足の間に雪男の体があって、恥ずかしいのに足を閉じることすらできなくて。
小さく頷いた瞬間、ぬめった指が入り口を割り開いてくる感触がした。一気に倍になる質量に、ひゅっと喉が鳴る。
「あ…あっ…ゆきお…こわい、っ」
耳の中でぐちゅぐちゅ水音がするから、自分の声のボリュームが分からなくなってくる。
まるで叫ぶようにそう言って雪男の髪を少しだけ引っ張ったら、「うん、」と良く分からない返事が返ってきた。
「あ、はあ、う…ンっ、んああ!」
熱い、熱い舌がまた俺のモノに絡みつく。一気に強烈な快感の中に放り込まれて、頭が真っ白になりそうだった。
「ただ貴方は愛でられていなさい。奥村燐。」
メフィストの言葉は、まるで砂糖の塊みたいに甘かった。
*
恐怖心を快感で誤魔化してやれば、奥村燐の体は従順に快楽を追い求めた。
3本を難なく飲み込めるほどに柔らかくなった後孔に、ごくりとその弟が喉を鳴らした。
馬鹿な子供達だ。されど弟の穢れの無い執着と、兄の愚直な渇望はいっそ美しくもあった。
「兄さん…、僕の、全部をあげる。」
「ひう、ああぁああぁっ!!」
その禁忌な戯れに、どくりと下肢が重くなるのを感じる。末の弟ははくはくと酸素を求めて溺れる魚のように艶やかな唇を動かす。
溺れてしまえ。そんなことを思いながら、顎を掴んで上を向かせると、ソファの反対側から覆いかぶさるようにして口づけた。
「んう!ふぅうっ…!」
びくびくとしなやかな足が彼の弟の肩で跳ねる。
舌を引き抜くと、虚ろに蕩けた視線と目が合った。
「めふぃ、すと、っんん!」
「ふふ…過ぎる快楽は苦しいですか?…ですが、これが『愛』ですよ。」
私の言葉を理解した瞬間、覚醒したようにその瞳の奥で蒼い炎が揺れた。
「っっにいさ、っ、」
ぶるりと彼の弟が肩を震わせる。
「んああっ!あ…あ…っゆき、ぃっ」
荒い息を整えた彼がずるりと兄の体から自身を引き抜いた瞬間、ごぷりと大量の白濁が零れ落ちた。
「奥村先生、次は私の番ですよ☆」
独占欲丸出しの彼は、それを少しも押し殺すことなく、じとりと睨み上げてくる。
「ふふ、彼の全ての『はじめて』は貴方に。」
「ふあっ、あぅ、」
だらしなく開いたままになっていた口内へ、2本の指を差し込んで舌を掴むと外気に晒すように引っ張り出してやった。
ちろちろと蠢く紅い舌に誘われるように、欲情した弟はごくりと喉を鳴らし、また熱を擡げさせた。
「兄さん…ぼくの、咥えて?」
ソファの前側に回ると、ソファに腰掛ける弟の前でぺたんと座りこみ、おずおずと弟の怒張へと顔を近付ける彼の腰に手を伸ばした。
そうして四つん這いにさせるように腰を上げさせると、はしたなく絨毯を汚す下口に自分の熱を押しつけた。
「あっ…っ」
にちゅ、と先端を僅かばかり埋め込ませると、戸惑うような、快楽に濡れた声が漏れる。
「愛を注ぎ込んであげますよ、下からも、上からも…ね。」
「ぁ、ああンんんんぅ!!」
まるでその言葉が合図かのように、一番奥まで自身を埋め込むと同時、彼の弟もまたそそり立つソレを兄の喉奥まで一気に押し込めた。
ぬめる胎内はどんな高級な女よりも、それこそ淫魔よりも心地よかった。
「は…ぁっ、兄さん…兄さん…っ、愛してるよ、愛してる…」
うわ言のように弟がそう呟くたび、愛を象った精液を絞り取るかのように内壁が蠢き、締めつける。
「んっ、んっ、ん!」
「ふふ、まるで私たちに愛されるために有る躯だ…。そう思いませんか?」
ちらりと弟の方を一瞥すれば、狂気を宿した瞳がほほ笑む。
「毎日愛してあげる。ずっと、ずうっと。」
行為とは裏腹に兄の髪を梳く手は酷く優しい。
「僕らだけだよ、兄さんを愛してあげられるのは」
まるで洗脳するかのように、睦言は繰り返された。
私達はただの二匹の蝶となる。
華は密を差し出し、変わりに愛を喰らうのだ。
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黒衣様に捧げますっ!
切な系で甘裏…あれっ…(^^;
あ、甘…?
メフィ+雪×燐→志摩というヤジルシだらけの関係も妄想掻き立てられました!めちゃくちゃいろんなパターンのストーリーになって悩みましたが…い、いかがでしたでしょうかっ…?
メフィ様視点、難しいぃぃ!雪男のことは表向き奥村先生とか呼んでても内心『彼の弟』と表しそうな気がして。読みにくかったらすみませんっ!
ではでは、大変お待たせいたしました!
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