贖罪
真っ直ぐな勝呂に惹かれたのは、出会ってすぐだった。
惹かれて、好きになって。
実技訓練で勝呂の過去を知った時に覚悟した、いつか来るであろうその時は、思った以上に早くて。
仲間の仇と同じ炎を持つ俺を。同じ血を持つ俺を。
許せない想いが痛いほど解って、両手首にネクタイを枷のように巻かれた時、俺はそっと目を閉じた。
殺されるのかと思った。それでもいいと思ってしまった。
勝呂がサタンを倒す、その礎になれるなら。
何をされるか理解した時、嬉しくて涙が出たんだ。
きっと俺はこの日を、この時間を一生忘れないだろう。
これが勝呂の憎しみなら、恨みなら、復讐なら。
なんて甘美なのか。
「ん、あ、あっ…や、あ…っ」
内臓を掻き混ぜられて、知らない感覚に勝手に恥ずかしい声が出る。
勝呂の指だと思うだけで背筋が痺れた。
なんで、なんでこんなに優しいんだ。
苦しさに潰れた声が漏れれば、労わるように指がゆっくりと内壁を撫でる。
優しくなんてしないで欲しかった。
もっと好きになってしまうから。
指を抜かれて、息をつく暇もなく、灼熱が中を貫いた。
「ひ、ああぁぁああっ」
熱い。熱くてたまらない。自分の体内から自分のものではない心音がするのだ。
「っあ…ッ、すぐ、ろ…っ」
後ろから覆いかぶさってきた勝呂の熱が背中にじんわり伝わってきて、まるで抱きしめられているみたいだと思った。
勝呂の熱い息が首筋にかかる。
「ぅ、ん…っあ、あぁっ」
ずるっと一気に引き抜かれて、ぶるりと体を震わせた瞬間、また奥まで貫かれて。
「あっ、あ、っうあ、あぁぁっ」
背中に何度も何度も唇が降りてきて、痛いくらい吸われて。
まるでキスされてるみたいだと思った。
「あううっ…!あ、っすぐろ、すぐ、ろ、っ」
名前を呼ぶたびにどくりと中を穿つものが脈打って、嬉しくてたまらない。
「すぐろ、っああ!!あ、あ!」
勝呂の大きくてかさついた熱い手に自身をそっと包み込まれて、だらしなく先走りを零すそれをぐちぐちと擦られる。
「あ、ああぁっ!やあ、あ…っ!、ぅあ!」
ぐりゅ、と先端を擦られた瞬間、頭の中が真っ白になった。
「ひぅ、あ、っア――!!」
全身ががくがくと震えるように痙攣して止まらない。
快感でぐちゃぐちゃになった俺の奥底に、どくりどくりと熱が放たれるのを感じた。
「あ…、ぁ…」
あぁ、勝呂の、熱だ。
目の前で花火を見てるみたいに、光がチカチカと視界を塞ぐ。
ずるりと体内から引き抜かれた瞬間、全身から力が抜けて床に転がるように足が崩れた。
ぱさ、と体に服がかけられる感触がして、くしゃりと大きくて温かい手が俺の髪を優しく、1度だけ撫ぜた。
なんで、なんで優しくなんてするんだ。
「なん、で…っ」
「…分からんで…ええんや…」
なんで、そんな苦しそうな声なんだ。
――なんで、
「兄さん遅かったじゃない。どうしたの?」
だるい体を引きずるようにして寮に戻れば、雪男がばたばたと忙しなく出仕度をしているところだった。
「え?あー…、勝呂と、ちょっと、」
「まさか、喧嘩したの…?」サタンの仔だと打ち明けてから、みんなとうまくいってないことなんて誰が見ても明らかで。
微かに眉根を寄せた雪男は、俺が暴力を振るう不安と、俺が暴力を受ける心配が入り混じったような、そんな声だった。
「ちげーよ!お前こそ、こんな時間から任務か?」
時計の針は10時少し前を指している。
「うん、緊急で補佐に入ることになって。2時間ほどで帰るから、先寝ててね。おやすみ…兄さん。」
「気つけてな。…おやすみ。」
パタン、と扉の閉まる音に、ほっと小さく息を吐く。
上着とズボンは先に脱がされたから汚れておらず、くしゃくしゃになったシャツを上手く隠してくれた。
汚れたのは――
次の日から、勝呂は紺のニットを着てきた。
「坊、もう上着クリーニング出したん?」
「衣替えにははようありませんか?」
「朝からジョギングしたら暑いんや。」
少し離れた場所から聞こえる、3人の声。
洗って返すことはしなかった。
俺は毎晩その制服を抱きしめて眠る。
あの夜の匂いに包まれながら。
この想いを、捨てることができるその日まで。
(勝→→(←)燐、で勝呂の一方通行…ということで…えぇ、すみません…はち様すみません!!勝(→→)(←)燐、とカッコが増えてしまいました!!勝呂まで想いを伝えないことに!!
書い始めてすぐ脱線して楽しくなってしましましたぁぁぁあ!!!ズザッ
しかも原作に沿っていないという冒険。
勝呂にとって燐が『憎まなければならない相手』だとした場合。惹かれあうけど結ばれるわけにはいかない二人、とか禁忌とか、ええ、好きです。
すみません暴走しました!!
はち様、書き直せ!と言って下さって大丈夫ですので!
大変お待たせした10万打リクなのに、だいぶ想像と違ったものを送りつけてしまい…暴走しすぎてすみません!!
それでも妄想を下さったはち様へ捧ぎます!
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