09 Prayer-ラスト | ナノ


Prayer(5/5頁)

何ゆうてるん、奥村くん。

やめて、逃がして、助けて。

予想していたどの言葉でもなくて。

「あはは、燐くんっておもろいなァ、…ほら、廉造、お姫様の願い事、何でも1個叶えたるんやろ?」

金兄も予想外だったのか、ケラケラと笑っている。

「おもろいからご褒美に、コレ解いたるわ。」

そう言って、両足を拘束している縄を解いていく。そして今度は背中で括られた縄も。

手首の拘束具は外さないみたいだけど、まともに血が通うようになった手足の感覚に、もどかしそうに奥村くんが体を揺らした。

「奥村くん、願い事…そんなんでええん?」

俺だってさすがに酷いと思ってるのに。
唯一逃がしてやれるチャンスなのに。

もう一度聞き直すと、奥村くんは「うん、」と恥ずかしそうに、小さく頷いた。

「――っ、」

心臓のあたりがぎゅうぎゅうする。

なにこれ、罪悪感?


そっと唇を指で撫でると、自分のそれを重ねた。

じんわり触れる、熱。

そういえば、これが俺達の初めてのキスなのだと、ふと思った。

キスなんて要らないと思ってた。
女とのキスさえ、性交の流れのスタートくらいにしか思ってなかったから。


きゅう、と内壁が締まって、キスだけで奥村くんが、奥村くんの全身が喜びに満ちているのが分かった。


――いとおしい。


そんな言葉がふわりと当てはまってしまうような、温かな温度が胸の内に生まれる。


ちゃう、そんな、


快楽を求めるように、隙間から舌を差し込むと口内を蹂躙する。

「んっ、ん、んんっ、あっ」

二人の顎を伝って、ぽたぽたと唾液が零れた。


「はい、しゅーりょー。」

「んあ゛っ!」

がぶりと奥村くんの首筋に金兄が噛みついた。

「ほら、足の感覚戻ったやろ。燐くん、自分で動いて。」

「そん、な…っ」


「逃げへんかった燐くんが悪いんやんか。」


金兄の言葉に、燐くんが小さくびくりと反応した。

まさか、逃げるということを考えつかなかったのだろうか。
もしかして、キスして、なんて願うんじゃなかった、なんて後悔してるんだろうか。

そんな俺の葛藤をよそに、燐くんが覚悟したように唇を噛みしめた。
「ふ、うう、っん、」

ゆっくりと腰を上げ、ずるずると俺達のモノを引き抜いていく。

「んぐうっ!」

そして足の力を抜いて、ずぷん!と奥まで飲み込んだ。


はあはあと肩で息をする奥村くんの足が、がたがたと震えた。

「あ…も、もう…っ」

「はァ?もうギブ?…そんなキツいんやったら、逃がして、て言えばよかったやん。」

金兄の言葉に、奥村くんがしゃくり上げながら、小さく答える。

「っだ、って、…ずっと…っキス、した、かった、っひく、」


――やめてぇな。

罪悪感で胸が苦しい。


言葉を塞ぐように、もう一度口づけた。

「んっ」

そのまま両脇の下に手を差し込むむと、持ち上げるように浮かせ、腰を突きあげた。

「んんんんぅ!!!」

金兄も俺の動きとずらすようにぐちょぐちゅと交互に突き上げる。

目を開けたまま、焦点が合わない距離で蒼眼から涙が溢れるのを見ていた。

「ん!んうう!っン――!!」

金兄の手が奥村くんの胸をまさぐる。きっとピンを外したのだろう。
びくんっと体が跳ねて、嬌声が俺の口の中に響いた。

「っん、…ッ」

「――っ、はぁっ、」

絞り取られるような締めつけに、堪らず3度目の精を奥底まで注ぎ込む。

最後まで出しきってようやく唇を離すと、奥村くんはキスしながら気絶していたらしい。
俺に凭れかかるようにしてぐったりしている奥村くんを見て、金兄が優しい手でその濃紺の髪を撫でた。

「…廉造、燐くんちょーだい」

「あかん」

「なんで?」

「なんでって…」

そんなことを聞かれてもどう答えていいのかわからなかった。


いい加減、可哀そうだと思ったから?

金兄に壊されそうだったから?

トモダチ、だから?


どれも当てはまらないような気がして考えこめば、金兄が哂った。

「キスしたら好きにでもなったか?えっらい執着しとるやんか」

「はぁ?アレは金兄が勝手に決めたんやんか。1個だけ願い事聞いたるとか。」

「…ふうん、ま、えーけど。ここ風呂どこ?」

「1階…」

質問から興味を無くしたように ずるりと奥村くんの中から引き抜くと、鞄からタオルと着替えを取り出して部屋を出て行ってしまった。

ぐったりして動かない奥村くんの後孔から自分のモノも出すと、ごぷりと大量の精液が溢れ出てきた。

2人で3回も抜かずに中で出したのだ。異常な量の精液に混じって、一番奥に埋められていた奇抜なピンク色のローターも ぷちゅ、と吐き出された。

後ろ手に拘束されている手枷の鍵は金兄が持っているのか、見当たらなかった。


回復は早いとは言え、まだ手や胸や足にはくっきりと縄の痕が残っていたて、目尻には何度も涙が流れた痕。


そっと涙を掬うように目尻に口づけると、そのまま柔らかな唇へ、自分のソレを重ねた。



これは可哀そうな君への憐れみだ。


いとおしい、だなんて。


Prayer

(願い)





ふはー!金兄大暴走。3ページ目くらいから暴走し始めて、キスのくだりは絶対書きたかったので軌道修正にだいぶ手こずりました(笑)

そして志摩に変化の回です!!罪悪感が恋心だと気づくのはいつでしょうか。
結構好評だった金兄はこれにて一応出番終了です。もう一回くらい軽いちょっかい出してもらうかもしれませんが!




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