溶けた理性 (4/5頁)
何が起こっているのか理解できないまま、反応し続ける自分の体が信じられなくて。
信じられないところに雪男のゆびが入っていて、信じられない声が勝手に喉から漏れる。
痛さと不快感は、甘い痺れに変わり、ますますどうしていいのかわからない。
俺の両腕は突っぱねているのか、しがみ付いているのか分からないくらいの力で、ただ雪男のシャツを掴んでいる。俺が悪魔になったから、こんな体になったのか?雪男はなんでこんなことするんだ?
ぐるぐると疑問が頭の中で回り、考える前に強烈な快感が脳みそをバラバラにする。
雪男の2本の指は、相変わらず俺の内臓をかき混ぜて、信じられない快感を生み出している。
「兄さん、僕の指、きもちいい?」
雪男のいつもより低い声が鼓膜を揺らす。
自分の知ってる「きもちいい」と違いすぎて、力いっぱい頭を横に振ると、ぎゅう、と強く根元を締められた。
「痛っう、ゆきお、離しっ…ぅ」
「うそつき。…あーあ、おしおきだね。」
ずるっと勢いよく指を引き抜かれ、すぐに3本目の指を添えた、倍増した圧迫感が俺を襲った。
「ひっあああっ!!」
引き攣れるような痛みに、体中が震える。
どうして、どうして、どうして、
何がどうしてなのか、何が疑問かすら分からなくなってくる。
「は、っ…ゆき、ゆきおっ…」
「うん?どうしたの、兄さん。」
その声も、その表情も、優しすぎて意味がわからない。
じわりと視界が涙で滲むのが分かった。
ぐちゅ、ぬちゅ、と雪男が動かすたびに、ひどい音が聞こえる。
ふと、昔ジジイが隠し持ってたアダルトビデオの1シーンが、頭をよぎった。
女の悲鳴みたいな鳴き声と、こんな、こんなひどいおと、が―――
揺れる脳で必死に記憶をたぐっていると、また雪男はずるりと指を引き抜いた。
「は、う…っ」
背筋が痺れるような喪失感に、また脳が揺れる。
微かな金属音に、記憶がスッと繋がった。
まさか、まさか―――
男と女がするような、それ、を…
「っひぁあア―――!!」
まさか、と、導き出した答えが正解だったことを理解するより早く、脳みその神経という神経が焼き切れた。
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