けた理性
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「兄さん」

荒く息を吐き、壁にもたれかかっていた兄さんが、びくりと肩を揺らした。

「っゆきお、なんで…こんな、」

そう言った後 言葉を詰まらせた兄さんに、告げる。

「こんなって、まだだよ兄さん。まだ終わってないよ。」

笑顔でそう言って、自分の中指を口に含んだ。

兄さんはどういう意味かきっと分からないんだろう。不安そうに見上げてきた。

左手で力の抜けた膝を開くと、兄さんが閉じてしまう前に体を割りいれた。

たっぷりと唾液を絡ませた中指で後孔をなぞると、初めての感覚に兄さんの体が戦慄いた。

「ゆ、っ」

抗議の言葉を吐きかけた口を自分の口で塞ぐと、右手の中指をつぷりと兄さんの中に差し込んだ。

「ィあっ!?っっや、ゆきっ」

舌を入れてなくてよかった。予想していなかったであろう衝撃に、暴れた兄さんの尖った歯が僕の唇を掠めた。

僅かに切れたのか、うっすらと血の味がする。

「あ…」

唇に滲む血を見て、兄さんの顔がサッと青ざめた。

「…兄さんのせいで切れちゃったんだよ。だから、舐めて」

そう言って唇同士が触れ合うギリギリまで顔を近づける。

「ね、兄さん。痛いんだ。お願い。」

そう言って目を伏せると、しばらくして ちろり、と熱くぬめった舌が自分の唇を掠めた。

ドクン、と心臓が鳴る。

キスならば先ほどしたというのに、兄さんから触れて貰えるだけで、心臓は震えた。やっぱり、ココロは心臓にあるんじゃないだろうか、そう思うほどに。

薄く目を開くと、真っ赤な顔をして震える舌を伸ばす兄さんが視界いっぱいに入って、我慢できずにその伸ばされた舌を絡め取って口づける。

「ん!っっンん!」

ゆっくりと中に埋めた指を奥へ奥へと侵入させると、兄さんが呻いた。

情報だけで知っていた前立腺を探そうと、根元まで埋めた中指をぐりぐりと動かす。

「!?あうっ!ひ、あ!」

少し曲げた中指が、そこを擦ると同時に、ビクビクと兄さんの体が跳ね、悲鳴のような声が上がった。

「…ここなんだ。ふふ、気持ちいい?兄さん。」

「や、あ、あ、っやめ、ゆきお、ぃたい、いやだ、っあ!」

何度も何度もそこを擦ると、ぽろぽろと涙をこぼす。

「そう。兄さんって痛いと勃つの?こんなになってるの、自分で気づいてる?」

そう言って左手でつうっと兄さんの自身を撫でると、くぷりと先端から透明の雫が滲んだ。

「あ、ふ、っ…ッ」

びくりびくりと、指の動きに合わせて跳ねる兄さんの体が可愛くて。
そんな場所で気持ち良くなるはずがない、と、反応する自分を認められないんだろう、顔を真っ赤にして声を殺す兄さんが可愛くて。

(認めなよ。僕の指で感じてるんだ、って。)

中指を引き抜くと、ぬちゅ、と濡れた音がした。

指が去る感覚に、明らかに安堵の表情を浮かべた兄さんに、ばかだな、と心の中で呟いて、次々と先端から零れていく先走りを人差し指ですくう。

そして人差し指と中指を重ねて後孔にあてがうと、ぎくりと兄さんの顔がこわばった。

「…ひっ、ぁああアっ!」

どれだけ嬌声をあげようとも、ここには僕らだけなんだよ、兄さん。

僕らだけの―――



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