◎ Etude(5/5頁)
まだ俺の足の間で床に座り込んでいる、燐くんの顎に指をかけて上を向かせると、屈んでキスをした。
「っ、ふぅ、ぁ…っン、」
脱いだジーンズのポケットから手さぐりで小さなピルケースを取り出すと、中身を掌に移す。
ちゅぷ、と唇を離すと、代わりに2本の指を含ませた。舌の裏側に薬を押しつけ、唾液で溶かすようにぐちゃぐちゃと掻き混ぜた。
「ふぅう!?う、う…!」
舌の裏側は成分を吸収しやすく、効き目が早い。
ごくり、と薬が溶けた唾液を飲み込んだのを見届け、指を引き抜いた。
「な…に、?」
涙目で不安そうに見上げてきた燐くんに、ふわりと笑いかけると、耳元で囁く。
「気持ちようなるだけや。」
そう言ってから思い出す。そういえば、この薬はアルコールと同時に服用すれば、必要以上に効き目が強くなるんだった。
(まぁ…えっか。)
「おいで。」
手を差し伸べると、燐くんは目を泳がせて、それから俺の手を取った。
――覚悟しぃや。自分で取ったんやで、俺の手。
燐くんはキスが好きだ。
ベッドに押し倒して、触れるだけのキスを何度も繰り返していると、蕩けたような顔で見上げてくる。
Tシャツの裾から手を差し入れれば、ひくりと腹筋が戦慄いた。
「はふ、っだめ…だめ…ぁ、」
乳首を親指で潰しただけで甘い声が上がる。上気した頬は朱く、まるで誘うように涙で潤んだ瞳が俺を射抜く。
「そんな物欲しそうな眼ぇして?」
膝で燐くんの自身を探れば、そこは固さを持ち、服を押し上げるように勃ちあがっていた。
「あ、あっ…やあ…っ」
「ほら、もう勃っとるやんか」
「ひ、んぅ―――!!!」
ぐいぐいと膝で擦ってやると、燐くんはぎゅうっと眼を瞑って、びくびくと体を跳ねさせた。
「は、…もしかして、今のでイったん?」
「っあ…ぅ…」
羞恥で真っ赤になった顔を、両手で覆うように隠している。
「ええやんか。エロい体、好きやで?俺は。」
そう言いながら、部屋着を下着ごと引きずり下ろす。
煌々と明るい部屋の中でどろどろの下肢を晒されて、燐くんは泣きそうに顔を歪めた。
その顔が俺を一層煽ることも知らずに。
「あうぅ、ぁっ…あっ」
燐くんが出したものを指に絡めると、いきなり2本を後孔に突っ込んでみる。
ぎゅうぎゅうに締めつけるソコは、びっくりするほど熱い。
「あうぁああ!!ひああっ!あ、あぅぅ…!!」
ぐりゅぐりゅと2本の指を付け根まで差し込んだまま、手首を捻るように掻き回してやれば、あられもない声が上がった。
「ははっ、えっらい声やな。指でこんなけやったら、俺のちんこ突っ込んだらどーなるん?」
「っぅあ…!」
ぶるりと燐くんが体を震わせる。
「あは。想像したん?俺に突っ込まれるとこ。」
「ぅ、う…あ…だめ…きんぞ、さんっ」
指を引き抜いて横を向かせると、燐くんの左足を跨ぎ、右足は肩に担ぎあげる。
「だめ…だめ…!!」
先端を入り口に咥えさせれば、ぴくぴくとそこは唇が食むように蠢く。
だめ、なんて言うくせに、一向に逃げる様子もない。
「ほら…逃げやな入ってまうで、」
ゆっくりと腰を進めていくと、燐くんはくしゃりとシーツを握りしめた。
「あ…あ…あ…っ」
手は白くなるほどにキツく力が込められていて、ぷるぷると震えている。
熱くて、溶けてしまいそうだった。
(アイス入れたら一瞬で溶けるんちゃうん。)
そう思いだしたら、やりたくてしょうがない。
(あとでアイス…買いに行かせよ。)
今はとりあえず1回発散したい。
そう思って半分ほどまで入れた自身を、一番奥まで一気に入れた。
「ひああっ!!あ、う、」
「――っ、…ん?」
ぎゅうぎゅうと引き込むような締めつけに、もしやと思って下肢を見降ろす。
「また勝手にイってもぉたん?」
「ご…ごめんな、さ…い」
だらだらと漏れるように精液を零す自身を見降ろす。
縛ってやろうかとも考えたが、あまりに中の締めつけが気持ち良すぎて、動きたくてたまらなくなる。
引きずり込もうと収縮する体内からずるりと先端まで引き抜いて、また奥まで突き刺して。
イったばかりの体はびくびくと痙攣し、さらに気持ちがいい。
「やっ、や、あ、っまた、あっ…ああんンぅ!!」
「っ、やば、――っ」
腰がぶるりと震え、最後の1滴まで全て、燐くんの胎内に注ぎ込んだ。
「あぁ…ぁ…っ」
連続で絶頂を迎えた衝撃で、ひくひくと体を震わせる燐くんはとても綺麗だ。
健気で可愛らしくて、――苛めたくなる。
――あぁ、今日は優しくしたるて思っとったんに。
僅かばかり息を整えた燐くんの体から自身を引き抜き、近くにあったタオルで適当に拭う。
自分のどろどろになった下肢も。
どうせ、1時間後にはまた裸になってるんだから適当でいい。
「燐くーん、アイス買いにいこ?」
「…ぇ、?」
薬が効いているのか、また半勃ちになった下肢に気付いていないフリをしながら、下着を履かせ、服を着せる。
「俺のん、零したあかんで、」
ようやく意味が分かったのだろう。たっぷりと精液を注ぎ込んだまま、外を歩けと言っていることに。
「やだ…むり…っむりです!金造さんっ」
「俺が行くゆうたら行くねん。ほら、」
俺も着替えを済ませると、未だベッドに転がっている燐くんの手を引いて立ち上がらせた。
「っぁく…!!ぅぁ……ひっ、」
後孔を必死に締めているんだろう。
背筋をぴんと反らせて、ぶるぶると震える燐くんに、俺はとても機嫌が良くなる。
「ほな、いこか。」
絶望みたいな顔をした燐くんの、白い頬にキスをして。
Etude
(練習曲)
続きます…!次話、金兄絶好調。
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