◎ Even(2/3頁)
「あ、あっ…ア、…や、っ」
ぬるぬると指を後ろに入れられて、ぞわぞわと背筋が痺れる。
「なんや、柔いなぁ…こっち。」
志摩にそんなことを言われたが、だってそんなのしょうがない。昨日も雪男がぐちぐちずっと弄るんだから、俺のせいじゃない。
「は、あぅ、…っン!!」
前立腺を指が掠って、ビリッと電気みたいな快感が走る。
「ここ?」
「そ、こっ、ア…っう、あ、あ…」
何度も何度もそこを撫でられて、頭が痺れてくる。雪男のせいで慣れた体は、もっともっとと更なる刺激を求めて勝手に志摩の指を締めつける。
「ふふ、そんなぎゅうぎゅう締めつけて…もっと欲しいん?」
「う、…っアぁあっ!!」
小さく頷けば、指が引き抜かれた直後、一気に圧迫感を増してまた指が押し込まれた。
「こんな柔かったら3本くらい飲み込めるやろ?」
「あっ、あっ、だ、めっ…はう、ぅ」
ぎちぎちと入り口を広げるように増やされた指が、苦しくて、それがまたぞわぞわする。
「あ…やぁ、く、るし…っ」
「そう言うとるわりに、勃っとるやん。」
「ひぐ――っぅ!!」
爪先を先端に差し入れられて、頭が真っ白になった。
ぼたぼたと、自分の精液が腹や胸にかかる。
「うわ、ジブン、変態?」
志摩の哂う声が聞こえる。かぁ、と顔に熱が溜まって恥ずかしい。俺だってイくなんて思ってなかった。
爪を立てられた先のとこが、じんじんしてまた熱を持ち始める。
「ふ、なぁんや、また勃ってきとるし。」
「ンぁッ!!」
ふうっと冷たい息をかけられて、ぞわりと鳥肌が立つ。
そして同時に中に入れられた指をばらばらに動かされて、また口から意味のない言葉が零れていく。
「あぁぁ、あ…っん、うぅあッ」
ぴくぴくと足が痙攣してくる。だめだ、また、イきそう。
ぐぐ、とつま先が丸まった瞬間、ずるりと指を全部引き抜かれた。
「っあう!…な、んで、っ」
「ふふ、指より気持ちえぇもん、知っとるんやろ…?」
ぐ、と熱いモノが入り口に押しつけられる。
――俺は、知ってる。
ごくり、と思わず唾液を飲み込んだ音が、無意味に大きく聞こえて、一層羞恥が増す。
「ほら、どうして欲しいかゆうてみ。」
じん、と頭の中が痺れた気がした。
「し、しまの…ちょぉだ、」
自分の言葉と同時に耳に届いたのは、扉が開く音。
呆けたままの頭で音のした方を振り向けば、雪男が僅かに目を見開いて立っていた。
すぅっと細められた眼に射抜かれるように、背筋に冷たいものが走った。
「ゆ…きお、」
快感にはとことん弱い兄さんだと理解していたが、まさかこの短時間でこんなことになるとは思っていなかった。
「何してるの…」
「何って、見ての通りセックスやないですか。」
へらりと哂うピンク頭にイラっとする。志摩君がここまで手が早いなんて侮っていたよ。一瞥すると、目を泳がせている兄さんの方を見降ろす。
「…ほんと兄さんはだらしないね。」
ぐいっと顎を掴んで上を向かせると、バツの悪そうな顔をした。
ほんっとだらしない。こんな明るい教室で、服なんてシャツが腕にひっかかってるくらいで。お腹は精液でどろどろになってるし。
おまけに足開いておねだりなんて、教えるんじゃなかった。
「ごめん雪男、…か、課題は明日するからっ…!」
ほら。どこでどう間違えたのか、兄さんにとってセックスはあまり深い意味を持たない。おまけに、悪魔の力が覚醒してから一層快楽に弱くなった。
「ちゃんと忠告はしたよね?」
しゅるりとネクタイをほどけば、怯えたように兄さんの眼が揺れた。
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