◎ Even(1/3頁)
※黒志摩×プチびっち燐+言葉責め雪
「ゆきおぉ〜腹減った…もう帰ろうぜー?」
「何言ってるんですか?奥村くん。帰りたかったらさっさと覚えて下さいね。」
兄さんは甘えた声を出して機嫌を伺ってくるが、今日ばかりは甘やかしていられない。
「うわ〜若先生、容赦あらへんなぁ」
「志摩君も喋る暇があるなら手を動かした方がいいですよ。」
辺りはもう真っ暗になっている時間。
課題は提出しない上、テストの点数が毎回一ケタな兄さんと志摩君に居残りさせると、塾が終わった後に教室で課題をやってもらうことにした。
このままでは兄さんの祓魔師認定試験の筆記が危ういし、志摩君だって僕の生徒だ。悪魔薬学が足を引っ張って試験に落ちたとなれば、僕の教師としての価値が下がってしまう。
「ほら、分からない所があったら、…」
言葉を遮るように、携帯の着信音が鳴る。
「はい、奥村です。…はい、場所は?…はい。大丈夫です。今から向かいます。」
心の中で小さく舌打ちをする。二人を見おろすと『全然気付いていませんよ』みたいな顔をして分かりもしないプリントに齧りついているが…
「…ちょっと30分ほど任務で出るから。」
「えっ!そ、そっか!頑張ってこいよ!」
「若先生お気をつけて〜」
一気に明るい声音に変わった二人に、諭すようにプリントを追加で渡す。
「僕が帰ってくるまでにコレを仕上げておくこと。…出来てなかったら…わかるね?」
まぁこの意味は兄さんにしかわからないだろうけど。
じゃあ行ってきます、と扉に招集された場所への鍵を差し込むと、教室を後にした。
せっかく若先生が居ないというのに、ガリガリと頭を掻きながらうんうん唸り、真剣にプリントに向かう奥村くんに、声をかける。
「なぁ、若先生のゆうてたことって、どういう意味なん?」
「え゛!!?い、いや、っ…それより志摩も早く片付けようぜ!」
真っ赤になって話を逸らす奥村くんを見る。
前から思っていたことだが、奥村くんと若先生の間には、何か普通の兄弟とは違う空気がある。かと言って、恋愛に近い空気があるわけでもない。
「なーなー奥村くん、どうせ分からんねんから、ちゃうことしよや?」
「へ?」
席一つ空いていた間を詰めると、きょとんとした顔の奥村くんにキスをした。
「ッん!…っ、ぅン、ぁ」
びっくりしつつもすぐにキスを受け入れる奥村くんに、また疑問符が頭の中に生まれる。
慣れているのは若先生のせいだとしても、若先生と『そういう』関係ならば、拒否されると思っていたのだが。
「ふ、はふ、…しまぁ?」
「ん?」
「俺、女じゃねーぞ。」
「見た分かるよ。奥村くんかわええんやもん。」
そう言ってもう一度ちゅうと唇に吸いつけば、ふうん、と興味なさげに奥村くんが納得した。
「あ、んなことより課題しねぇと!」
「せやから終わらんて、1問も分かる気せぇへんわ〜」
「うぐ…確かに…」
からん、とシャープペンシルを落とした奥村くんに、にやりと笑ってその細い首元に手を伸ばした。
奥村くんのネクタイを外し、ぷちぷちとシャツのボタンを外していく。
「ちょっ、プリントしないと雪男に怒られっ、ア、っ」
ぐり、と乳首を摘み上げると、甘い声があがった。
「ちょ、ッン…ぁ、っ」
「ふうん?乳首気持ちええんや?」
ぴくんぴくんと小さく反応する姿に、ぺろりと舌舐めずりする。
「な?もっと気持ちええこと、しよや。」
とろん、と奥村くんの眼が蕩けた。
Next→