Even1 | ナノ


Even(1/3頁)


※黒志摩×プチびっち燐+言葉責め雪


「ゆきおぉ〜腹減った…もう帰ろうぜー?」

「何言ってるんですか?奥村くん。帰りたかったらさっさと覚えて下さいね。」

兄さんは甘えた声を出して機嫌を伺ってくるが、今日ばかりは甘やかしていられない。

「うわ〜若先生、容赦あらへんなぁ」

「志摩君も喋る暇があるなら手を動かした方がいいですよ。」

辺りはもう真っ暗になっている時間。

課題は提出しない上、テストの点数が毎回一ケタな兄さんと志摩君に居残りさせると、塾が終わった後に教室で課題をやってもらうことにした。

このままでは兄さんの祓魔師認定試験の筆記が危ういし、志摩君だって僕の生徒だ。悪魔薬学が足を引っ張って試験に落ちたとなれば、僕の教師としての価値が下がってしまう。

「ほら、分からない所があったら、…」

言葉を遮るように、携帯の着信音が鳴る。

「はい、奥村です。…はい、場所は?…はい。大丈夫です。今から向かいます。」

心の中で小さく舌打ちをする。二人を見おろすと『全然気付いていませんよ』みたいな顔をして分かりもしないプリントに齧りついているが…

「…ちょっと30分ほど任務で出るから。」

「えっ!そ、そっか!頑張ってこいよ!」

「若先生お気をつけて〜」

一気に明るい声音に変わった二人に、諭すようにプリントを追加で渡す。

「僕が帰ってくるまでにコレを仕上げておくこと。…出来てなかったら…わかるね?」

まぁこの意味は兄さんにしかわからないだろうけど。

じゃあ行ってきます、と扉に招集された場所への鍵を差し込むと、教室を後にした。











せっかく若先生が居ないというのに、ガリガリと頭を掻きながらうんうん唸り、真剣にプリントに向かう奥村くんに、声をかける。

「なぁ、若先生のゆうてたことって、どういう意味なん?」

「え゛!!?い、いや、っ…それより志摩も早く片付けようぜ!」

真っ赤になって話を逸らす奥村くんを見る。

前から思っていたことだが、奥村くんと若先生の間には、何か普通の兄弟とは違う空気がある。かと言って、恋愛に近い空気があるわけでもない。

「なーなー奥村くん、どうせ分からんねんから、ちゃうことしよや?」

「へ?」

席一つ空いていた間を詰めると、きょとんとした顔の奥村くんにキスをした。

「ッん!…っ、ぅン、ぁ」

びっくりしつつもすぐにキスを受け入れる奥村くんに、また疑問符が頭の中に生まれる。

慣れているのは若先生のせいだとしても、若先生と『そういう』関係ならば、拒否されると思っていたのだが。

「ふ、はふ、…しまぁ?」

「ん?」

「俺、女じゃねーぞ。」

「見た分かるよ。奥村くんかわええんやもん。」

そう言ってもう一度ちゅうと唇に吸いつけば、ふうん、と興味なさげに奥村くんが納得した。

「あ、んなことより課題しねぇと!」

「せやから終わらんて、1問も分かる気せぇへんわ〜」

「うぐ…確かに…」

からん、とシャープペンシルを落とした奥村くんに、にやりと笑ってその細い首元に手を伸ばした。

奥村くんのネクタイを外し、ぷちぷちとシャツのボタンを外していく。

「ちょっ、プリントしないと雪男に怒られっ、ア、っ」

ぐり、と乳首を摘み上げると、甘い声があがった。

「ちょ、ッン…ぁ、っ」

「ふうん?乳首気持ちええんや?」

ぴくんぴくんと小さく反応する姿に、ぺろりと舌舐めずりする。

「な?もっと気持ちええこと、しよや。」

とろん、と奥村くんの眼が蕩けた。



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