溺れる魚(3/3頁)




今からくる衝撃と快感に期待する体を無視して、埋めた先端をナカからぬぷりと引き抜いてやる。

「っあ!、な…んで、っ」

「ちゃんと言い、ゆうたやろ。」

隙間から先走りを溢れさせている綿棒をぐりぐりと弄る。

「ッあぁぁ!!や、それ、とって、イき、たいっ…!!」

「ちゃうやろ、イきたかったら何てゆうん?」

また先端を入り口にくっつければ、切羽詰まった声で泣きながら懇願してきた。

「ひぐ、も、い、いれて、っ」

「なんで?」

「し、しまが、すき、だから、」

「ほんま?」

「ほ、んと、だから、ぁもう…っしまぁ…!!」

もっと焦らしてやろうかとも思ったけれど、おそらく無意識だろう、腰を擦りつけるように動かすその痴態に煽られて、内壁を押し分けて一気に奥まで猛った自身を押しこんだ。

「あぁア――ー!!!」

ずぐずぐと内臓すら押し上げるように突き上げる。
悲鳴みたいな高い掠れた声が聞こえ続けていて、一層下肢が重くなる。

「あっ、あ、あ、ぅああ…!!」

びくびくと絶頂の時の締めつけがずっと続いている状態で、こっちも堪らないが、奥村くんは限界を訴えるように俺の首に手を回してきた。

「も、もっ、あ、あぁぁ!とって、とってぇ!!」

一度も出せていない自身が相当苦しいのか、目尻は泣きすぎて真っ赤になっている。

腰を動かすのを止めると、まるで諌めるようにぎゅうぎゅうと内壁が絡みついてきた。

「俺のこと好き?」

「す、すき…っ」

「ほんなら俺以外の男と仲良うしたあかんで。」

「して、ない…っぅ、しない、からっ」

もう綿棒を抜いてもらうことしか考えられないのか、馬鹿みたいに必死に頷く。

「ほんなら、仲良うしたらまたおしおき、してええな?」

「ん、んっ、い、い、からぁ…!も、っ」

「…約束やで。」

理解はしていないだろうが、それでも、約束は約束だ。

こくこくと必死に頷く奥村くんに一度キスを落として、ずるりと綿棒を半分まで引き抜いてやる。

「っう――ぁ!!」

背中が弓なりに反り、声にならない声で快感に耐えている。

「し、しま…?」

震える声で名前を呼ばれて、ソコから手を離して細い腰骨を両手で掴んだ。

「なん、でっ…!あぁあああ!!あっあう!」

「燐は一緒にイきたぁないん?」

すぐ言葉に流される奥村くんは「一緒がいい」と可愛らしい言葉を途切れ途切れに紡いだ。


とは言え、こっちもそう長く持ちそうもない。

「あぅ、う!っンあ!」


あられもない声に煽られるように快感が高まって、一番奥で熱を吐き出す瞬間、前に挿していた綿棒を引き抜いてやった。

「ひぁあ゛ぁあああア――!!」

びゅるっと大量の精液を吐き出すソレを、最後まで絞り取るように扱いてやる。

「あぅぅう!!」


そして、とろとろと何度も溢れる精液を掬い取って、奥村くんの頬に擦り付けた。

「愛してんで、燐」

呆けたように俺を見つめる奥村くんが、酷く幸せそうにほほ笑んだ。




+++






「兄さん、起きて。」

兄さんの布団を揺さぶりながら、そのあどけない顔を見る。

思わず苦虫を噛み潰したような顔になったのは、その目尻が僅かに赤かったから。


志摩君が残すものは、いつもなかなか消えない。

泣かせた痕も、キスマークも。


揺さぶっていた手を止め、髪を梳くように優しく頭を撫でる。

ただ兄さんを傷つけるだけの存在なら、兄さんの傍から消してやるのに。

兄さんは、彼を好きだという。

何度こうやって気絶までするような酷いセックスをされたって。


「兄さんも酷いね…」

僕は、『弟』以外には、なれない。


僕に赦されていることは、『弟』として傍に居ることだけ。

「愛してるんだ、兄さん」


ぽたぽたと手の甲に落ちた涙は、この胸に抱える気持ちと一緒で、きっと、この先ずっと、誰にも気付かれることはないのだ。



理紅さま、リクエストありがとうございました!!
志摩燐(←雪)でシリアスにえろすを詰め込んでみました!放置プレイも悩みましたが…ここは撮影で!(笑)素敵セリフもそのまま使わせていただきました!

タイトルは、志摩の愛が糧なのに溺れる、みたいな。

萌えぷれいのオンパレードで書くのが楽しすぎました(笑)
素敵リクありがとうございました!!





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