◎ Replica(3/3頁)
志摩が、侵入してくる。
全く慣らされることなく、けれどぬるぬるした液体のせいで滑るようにじわりじわりと入り口を広げられる。
冷や汗が出て、息を吐くことすらどうやっていたか分からなくなって。
尻尾をゆるゆると揉まれた瞬間に勝手に力が抜けた体に、ズッと熱い楔が僅かに入り込んで来た。
先端を飲み込んだのが分かる。志摩のカタチが、ドクドクという志摩の心音が、直接内壁に伝わってくる。
「っあああ!!」
いつもと比べ物にならないくらい、大きく感じるソレに、怖くて逃げたくなる。
強張って突っぱねるように机についたままの手がカタカタと震えた。
「あううっ…は、ぁう、」
ぎゅうぎゅうに締めつける力が抜けずにいると、左側の胸と尻尾を弄られて、くにゃりと力が抜けた。
「はぁっ…ふふ、やらかぁなってきた。」
志摩がそう耳元で哂う。恥ずかしい。
また、ずずっと志摩の熱が押し進められる。
「は、あ、あぅ、…っ」
「あつ…、なぁ、溶けそうやなぁ、っ」
本当に、志摩が入り込んで来たところから溶けそうだった。熱くて、熱くて、境目なんてわからないくらい。
溶けたい、いっそ。
じりじりと少しずつ奥に挿れられる。
もうだめ、これ以上ムリなのに。
「あっ、あ゛…」
内臓を押し上げられて、呼吸すら奪われる。
「ぎっちぎちやなぁ、ここ。」
「っぁは、っう、」
つつ、とギリギリまで広げられた入り口を冷たい指がなぞり、ぞくぞくと背筋が震えた。
「まだ、全部入ってへんで…?」
「あっ…あ、むりっ…もう、あっ」
腰を掴まれて、その掴む手に力が込められた。
「大丈夫に決まっとるやんか。いっつも全部飲み込んでんのに。」
「ひっ、ぁあ゛あア――!!」
奥の奥まで差し込まれて、視界がチカチカした。
「あぁ…やっぱ、コッチは奥村くんが一番や。」
志摩の声に、脳裏にさっきの女の子の不敵な笑顔が思い浮かんだ。
――あぁ、そっか。
ボロボロと勝手に涙がこぼれる。
知ってた。そんなこと、分かってた。
志摩は俺のナカだけが好きで、従順な俺が便利なだけってこと。
ちゃんと、分かってる。
俺はあの子のレプリカなんだって。
レプリカにすら、ちゃんとなれてるんだろうか。
「ん?何泣いとん?褒めてんのに。」
ぱたぱたと机に落ちた水滴を見て、志摩が俺の頭を撫でた。
「な、んでも、な…っあうう…っ」
言い終わらないうちに腰を揺さぶられて、内壁を擦りあげられて何も考えられなくなった。
「は、っやば…」
「ああっ、あっ、ひあっ…!」
ぬるぬると耳の裏側を舐められて、首筋を噛まれて、ひくひくと体中が反応してしまうのが恥ずかしい。
ぐちゅ、ぷちゅ、という空気の混じった恥ずかしい音。
やだ、いやだ。嫌なのに、煽られるように足が痙攣し出す。
「っああぅ、っあ、も…っ、ア、」
「っ、ナカに、出したるから、」
ちゅぅ、と項をキツく吸われて、それだけで頭が真っ白になった。
「ひあっ、ぁあぁああ!!」
「――ッ、」
どぷりどぷりと熱い迸りが内壁にかけられる。
「あ…ぁ…っ」
ばかみたいに満たされて、幸福感でいっぱいになった。
一瞬でいい。この一瞬の幸福感だけで。
しあわせだと思ったのに、なぜか心臓の辺りがきゅうと痛くて、涙が零れた。
結局、一度も抜かずに3回も奥村くんのナカに吐き出して、やっと熱が治まった俺は、ずるりと自身を引き抜いた。
こぽり、こぽりと粘着質な精液が紅く充血した入り口から零れ落ちる。
またぴくりと熱が溜まりそうになって、思わず眼をそらした。
だって、奥村くんがさっき俺が出した時に痙攣したきり、くたりと気絶してしまったからだ。
(さすがに気絶してる相手に突っ込むんもなー)
可哀そう、と思う前に、反応無いんはおもろないし、と思った自分に若干呆れた。
いや、呆れたのは奥村くんにか。
「あほやなぁ…」
後処理もせず、そのまま下着とズボンを履かせ、堅い床に横たわらせたままで。
確信さえあった。
きっとこのままほったらかして帰ったって、奥村くんは俺のことを嫌いにはならない。
「…ごめんな、」
何に対しての謝罪かも自分で分からなかった。
ただ、口をついて出た。
くしゃりと柔らかい髪を撫でると、涙の痕が残る目尻に、口づけを落とした。
Replica
(複製)
つばき様、リクエストありがとうございました!!
長編に組み込みOKということで…モブ彼女登場…!!
最後の、気絶して眠る燐に「ごめんな」て言って抱き締めて、という部分がキスだけになってしまい申し訳ありません…!!
ちょっと今後の絡みもありまして…てへ(おい)
ラストまで見守っていただければ幸いです!
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