06 Replica-1 | ナノ


Replica(1/3頁)

※志摩×モブ女描写有り




ぴちゃり、ぴちゃり。

卑猥な水音と、ン、と鼻に抜けるような小さな声が聞こえる。

夕焼けが群青に染まる頃、俺は正十字学園の教室に戻っていた。

指通りのいい滑らかな髪を撫でる。

睾丸をやわやわと温かい手で揉まれながら、裏筋を舐めあげ、カリ首に吸いついて先端を唇で包まれる。

うん、上手い。

温かく吸いついてくる口内に導かれながら、俺はなんとなしにそう思った。

「夏姫ちゃんー、俺って何人目?」

年の割に慣れた口淫にふと思いついたことをそのまま口にすれば、彼女は小さく笑って俺のモノを口から引き抜いた。

「あは。どうしたの?れんぞーくんて、そういうの気になる人?」

「いや別に」と答えれば、大人びた、綺麗な顔をした彼女が妖艶な表情で「やっぱり」と言って笑った。

やはり彼女も最初はへたくそだったのだろうかと疑問に思う。

もしくはこういうのってセンスなのか。

(やって奥村くん、何回咥えさしてもへたくそやねんもん)

ちゅぷぷ、と朱い唇に一気に奥まで飲み込まれて、僅かに息を詰めた。そして俺は、ちらりと壁に掛っている時計を見た。












はっ、はっ、はっ。

息を切らして廊下を走る。

『6時 いつもの教室で』

1時間ほど前に届いたメールを思い出す。

今は6時を5分ほど過ぎた時間。こんな日に限って居残りなんてさせられて、逃げるのにちょっと手間取ってしまった。

「志摩、ごめっ…」

勢いよく開けた扉の向こう。

予想もしていなかった、景色。

まるでデジャヴのように、志摩の足元に膝をついている人影。

ちゅぷ、と音を立てて離れた女の子の口と、志摩のモノを透明でてらてらした液体が繋いだ。
ふわりと女の子が俺を見て妖艶に笑う。
体が石になったみたいに動けなくて、かわりに かあぁと顔面に熱が溜まるのが分かった。

「んふ、れんぞーくん、そーゆーシュミ?」

「ええから、続きしてぇや。」

また志摩の下肢に顔を埋めるその姿に、小さく手が震えだす。
ようやく理解した目の前の出来事に、俺は固まったままの体を叱咤して立ち去ろうと後ずさった時だった。

「何してんの、奥村くん。入りぃや。」

ふわりと笑う志摩が、理解できない。だって、今。だって、こんな。

「早よう、入り。」

びりびりと、とても静かな声なはずなのに、脳の中に直接命令されたように響く。

俺は震える足を、じりじりと前へ踏みだす。
そうしてカラカラと鳴る扉をゆっくりと締めた。

教室の中には、志摩と、志摩の彼女と、俺。
耳を塞いで、蹲ってしまいたい。

ツン、と目の奥が痛くなって、視界が滲んで揺れた。

「――っ、は…」

ぶるりと震えた志摩が、彼女の口の中に熱を吐き出して、彼女はそれをごくりと飲み込んだ。

噂だけで知っていた。だって、志摩は学校で有名だから。
とびきり美人な彼女が居るって。

志摩の隣に居られないなら、早くここから逃がして欲しい。せめて、要らないと切り捨てて欲しい。

俯いて立ちつくす俺に、女の子が笑った。

「れんぞーくん、三人でするの?この子、こーゆーコトに疎そうなんだけど。」

もう薄暗くなった室内で、女の子の指が俺の髪に触れる。
びくりと思わず体を跳ねさせた。

知られたくない。涙なんて、見られたくない。

その指から逃げるように身を捩ると、志摩が「もう、ええよ」と囁いた。

あぁ、終わりってこんな簡単に来るもんなんだ、と。
どこか他人事のように感じた。



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