しっぽと煩悩1 | ナノ


しっぽと煩悩(1/3頁)

「おっくむっらくーん♪」

祓魔塾の授業が終わり、バラバラと皆が帰っていったあとで、志摩がすっげぇ楽しそうに俺を呼ぶときは、決まっている。

「今月の特集、ほんっまヤバいで!」

ほらな!…とか言いつつ、同級生とエロ本を見るなんてこともしたことなかったから、実は結構楽しい。

いくら勝呂と付き合っているといっても、エロ本をちらつかされれば、やっぱりなんだか気になる。恥ずかしい、けど。

「見たいー?」

「み、みたい…!」

ばーん!と広げられたその雑誌の特集の見出しは、『にゃんこぷれい』。

ぱんつに尻尾がついてる。す、すげぇ。

おぉ〜!と二人で感嘆の声を上げながら、ぺらぺらと志摩がページをめくっていくのに合わせて視線を彷徨わせれば、シュラみたいな胸した女の子が、その尻尾を舐めたり胸に挟んでいたりごにょごにょ。

確かに、志摩がヤバいと言うだけある。

思わずじんわり下肢に熱が溜まりかけたところで、背後に殺気を感じた。

「い゛だッ!!!」

ゴンッという重い音と共に、志摩の悲鳴が真横から聞こえる。隣を見れば、見事に志摩のピンクの髪に聖書の角が埋まっていた。

その聖書を持つ手をたどって視線を送れば、聖書に似合わない金髪とさかメッシュの(というと「モヒカンて言え!」って怒られる)…勝呂が立っていた。

「す、勝呂っ!」

「お前等…姿見えへん思たら、そんなモンばっか見よって…。志摩!お前、若先生に課題出されとったやろ!奥村も!」

「「ご、ごめんなさい…」」


二人揃ったらろくなことがない、と、志摩は子猫丸と一緒に図書館へ、俺は勝呂に寮へ戻されることになった。

「ほんま、坊は煩悩どっかに置き忘れてきはったんちゃうやろか。なぁ?」

あー痛った。と頭をさする志摩を見ながら、俺は違和感に頭を巡らせる。

「ほな奥村くん、また明日なぁ。」

「あ…うん、」

「そんな顔せんでも、また明日持ってきたるさかい、「コルァ!志摩!」

「ひゃー!ほなね!」

ばたばたと去っていく志摩を見ながら、勝呂は小さくため息をついて「ほら、いくで」と、ポンと頭を撫でられた。











「お゛わった…」

寮に戻ってからみっちり1時間。雪男に出された課題を1分たりとも休憩をはさまずやり終えて、思わずばたりと机に突っ伏した。

こういう時の勝呂は、雪男並みにスパルタだ。もうちょっと愛情込めて教えてくれたっていいと思うんだ。…なんて言葉にすれば、「そんなんで頭入らんやろが!」て言われるんだろうけど。


「ようやったな。」

そんな、スパルタな勝呂のマンツーマンに耐えられるのは、終わったあとはこうやってぽふぽふと頭を撫でてもらえるから。


「もっと…撫でて」

ぐりぐりと勝呂のおっきな手に頭を擦り寄せると、小さく笑った勝呂が、ぱちりと前髪を上げていた髪留めを外した。

「、っ」

ぱさりと目のあたりに落ちてきた前髪に思わず眼をつむれば、ふにゅりと唇に少しカサついた唇が重なる。

「ぁ…っん、ん…」

ぬるりと入り込んできた舌に、応えるようにそろりと舌を少し伸ばせば、すぐに絡めとられてしまった。

「若先生、今日、何時?」

ちゅうちゅうとキスしながら、よく合間に喋れるもんだと変に感心する。

「っふぁ、おそくな、んむっ、さきに、ぅン…」

『遅くなるから先に寝ててって言ってた』の言葉の3分の1もまともに言えずに息が上がってしまう。
それでもどうやら勝呂は俺の言葉を理解したようで、勝呂はキスを中断すると、机の上の時計に目をやった。

「タイムリミットは3時間、か。」

そう言ってひょい、と軽々と抱えられてベッドに移される。

女の子じゃないから、お姫様だっこなんて、嬉しく…嬉しく…ない、…はずだ。

首に手を回したのは、なんかふわふわして…落とされそうだからな!

ぎゅう、としがみ付けば、また小さく勝呂が笑った。




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