ボーダーライ (2/5頁)

内股が痙攣してきたのを合図に口を離すと、前をくつろげて自身を取り出し、兄さんの後頭部を引き寄せて自身を小さな口元へ持っていく。

滲んだ先走りを塗りつけるように先端で唇をなぞると「あ、」と戸惑うような声が漏れた。

「くち、ひらいて?」

怯えた目で見上げられながら口に差し入れるのも堪らないけれど、真っ白な包帯で目を覆われて白痴のように茫然とする兄さんの口に差し入れるのは、とてもいけないことをしているみたいで興奮した。

グロテスクな性器が震える唇を割り開き、小さな顎を押し広げ、舌を押さえつけて侵入する。

ぞくぞくした。
その侵入の征服欲をもっと味わいたくて、わざとゆっくりと挿入する。

「う…んン…ぅ…っ」

先端が喉の奥に達すると、シーツを掴む指が震えていた。

暫く奥まで差し込んだまま動きを止めれば、喉がひくひくと痙攣する。

「怖がらないで。…奥、やだよね。ごめんね。苦しいこと、しないから。」

半分ほど自身を引き抜いてやると強張っていた指から力が抜け、しばらく躊躇した後、ゆるりと舌が僕のモノに絡まった。

「んう、っ…ン、ん、」

鼻に抜ける甘い声に煽られて射精感が高まっていく。


まるでペットがご主人様に尽くすように、掌と膝をつき、腰を上げて背を反らせ、僕のものに舌を這わす。

ご褒美だと言わんばかりに、優しく髪を撫でてあげた。

いっそ、兄さんを飼えたらいいのにと思う。

「はふっ、…ん、ん、っ」

そそり立つソレに必死に舌を伸ばす兄さんの顎にはだらだらとだらしなく唾液が伝っていて、くすりと笑みを漏らせば兄さんが僕を探すように顔を上げた。

「兄さんを僕の使い魔に出来たら、一生大事に飼ってあげるのに…ね。」

僕の言葉に顔を青くした兄さんは、カチカチと歯を鳴らしながら唇を震わせる。

ひどいなぁ。そこまで怖がらなくたって、酷いことなんてしないのに。優しく飼ってあげるし、絶対捨てたりしない。

でも、残念なことに兄さんは飼えるほどの低級悪魔じゃない。

「…うそだよ。…そんなこと、できるわけないじゃない。」

あからさまにほっとしないでよ。


「っぅあ!ゆ…ゆきお、っ?」

ぐっと腕を掴んで兄さんの上半身を引き起こすと、腰を引き寄せる。膝立ちになった兄さんの自身に手をかけると、自分のモノを合わせるように兄さんの自身に擦り寄せた。

「んンぅ…ぁあっ!?」

先端で兄さんの自身の裏筋をなぞる。その初めての感覚に、戸惑うように声が上がった。

「一緒にこすれば、一緒に気持ちいいね、」

「ぁう…っあ、ぁ…っ、ッ」

2本の竿を纏めてゆるく握ると、裏筋を擦るように腰を動かしながら、掌で先端を包むように撫でる。

兄さんが快感に流されるように熱い息を吐き、同時に兄さんと同じ快感を得ているんだと思うとさらにどくりと熱を増す。

「にいさん…」

顎に手をかけ、俯いていた顔を上げさせると、そっと唇を寄せる。

びくっと一瞬首を後ろに引いて逃げる頭を引き寄せ、深く、深く口内を貪った。

「んぅ…っぁ、ん、んっ」

ぴちゃり、と水音を立てて絡めていた舌を離すと、二人の先走りで濡れた手をソコから放す。

兄さんの勃ち上がったものの先端に、自分の先を合わせるようにくっける。

「っぁ、」

片手で敏感な入り口を固定すると、空いた片手で自身を高めていく。

「ゆ、き…?」視覚を奪われた兄さんには、先端を塞がれていることしか分からないだろう。
くちくちと小さな水音に、不思議そうな、不安そうな声が上がった。

「兄さんのナカ、僕で全部満たさせて…」

そうして僕は、先端の小さな口を合わせたまま、込み上げてきた熱を欲望のまま吐き出した。

「ッひ、ぁあ゛あぁあァ――!!!」

勢いよく吐き出した白濁は、兄さんの先走りを逆流させるように尿道を駆け、溢れた精液がぼたぼたと零れ落ちる。

「あ゛…あ゛…っ」

見えない自身を見降ろし、言葉をも失ったように唇からは無意味な音が零れる。

「ここ、いっぱいになった?」

「ひぐっ、い゛あ!!」

ひくひくと戦慄くその鈴口を親指の腹で撫でれば、兄さんが手足をばたつかせて暴れ出した。
拘束と言うには弱すぎた、その手首の包帯はぶちぶちと嫌な音を立てて引き千切れる。
尻もちをついたような格好で、ずるずると後ろに後ずさるようにして逃げる足を掴んで引きもどすと、兄さんは体を捩って上半身だけうつ伏せになってまたもや逃げようともがく。

助けを求めるように伸ばされた手は、虚しくシーツを掻いた。




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