毒を孕む薬 (3/5頁)
「やめろ、やめ、ゆきおっ!」
何度叫んだって、まるで聞こえていないように冷たい笑みを浮かべてキスをしてくる雪男に、涙が出そうになる。
「僕はただ、兄さんに正直になって欲しいだけなのに。」
「何、言って…っ」
前をくつろげられたズボンの隙間から、雪男のひやりとした手が入ってきて、思わず息が詰まった。
「や…いやだ…っ」
冷たい手で急所をそっと握られて、思わず竦み上がる。
「手、冷たくてごめんね、」
やわやわと揉まれて、こんなこと止めたいのに、ぴくぴくと反応してしまう。
不意に、胸の辺りを這っていた手が退いて行って、きゅぽ、というコルク栓を開けるような音がした。
その音源をたどって視線を彷徨わせると、さっき見せられた試験管の蓋が開けられていた。
前に見た、キラキラと虹色に輝く液体ではない。
けれど、嫌な予感のするソレから逃げるように、手足が雪男に当たらないように体を捩れば、ぎゅう、と股間を握られている手に力が込められた。
「ひぐっ…っ、や、何だよそれっ」
「僕が兄さんに害のあるもの、作ると思う?」
「っ…思わ、ない…けどっ」
害ではないかもしれない。
でも、こんな時に、その蓋を開けるなんて、嫌な予感しかしない。
「大丈夫だよ」
ふわりと笑う雪男に、一瞬気を抜いた瞬間、ズボンと下着が一気にはぎ取られた。
「ちょっ…!!何し、ひゃっ!」
とぷとぷと半分ほどその中身を下肢にぶちまけられて、冷たさに上ずった変な声が出る。
「痛くないでしょ?」
「冷た、っあ、や、」
ぬちゅくちゅと卑猥な音を立てて、その液体と一緒に擦られれば、ぞわぞわと快感は這いあがってくる。
いやなのに。
いやなのに。
こんなの、
「ひ、あ…!や、っゆき、」
その感覚に、目を瞑って耐えていれば、ぐいっと腰を引かれ、膝裏を押されて足を高く掲げさせられると、そのまま雪男の膝を腰の下に差し込まれて固定される。
「ちょっ、や、やめっ!こんなっ…!」
後孔をさらけ出すような、あまりに恥ずかしい態勢に逃げようとするも、太腿裏を雪男の手によって押さえられていて、不安定な態勢では僅かに動くことすら難しい。
そうやっているうちに、ぬるり、と熱い、何かが後孔を這った。
「や…やぁああ!!ゆきお!!いやだっ、それ、や、あぁっ」
つぷつぷと、雪男の舌に入り口も内壁も舐められて、その感覚が気持ち悪いだけではないことに、自分で怖くなる。
この態勢のせいで、そんな所まで自分で見えてしまって、さらに羞恥を煽られる。
「舐められるの、好き?」
「や、いやだっ…やめ…ひぅ」
今度はつぷりと指を一緒に入れられて、内壁を引っ掻かれてまた変な声が出た。
ぐに、と孔に指を差し込まれたまま横に引っ張られると、引き攣れるような感覚がして、さっき自身にかけられたその液体が、今度は直接内壁にかけられた。
「ひっ!あ、あ、あ…っううあ!」
とろとろと雪男の指を伝ってナカまで入ってくる冷たい液体に、びくびくと内腿が痙攣する。
試験管が空になると、雪男はそれを床に転がせた。
あの時みたいに、また試験管を入れられるのかと思っていたから、僅かに安堵したように力が抜ける。
高く掲げていた腰もベッドに降ろされて、なんだか分からないけれど、今日はこれで終わりなのかと思って、ホッとすれば、じくり、と。いやな熱がナカから生まれた。
「ゆ…ゆき…」
「どうしたの?兄さん。」
さっきまで冷たかったはずの液体は、まるで体温に反応するかのように、じんじんと熱を運んでいる。
「何、入れた…っ」
その熱はどんどん増して、熱いような、むず痒いような、痺れるような感覚で――
「あ、あ、あ…っ」
液体をかけられた自身も、じんじんと疼くように熱い。
「兄さんが、素直になれるかな、と思って。」
その熱に耐えるように、シーツを握りしめた。
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