01総受け
対・志摩廉造の場合
よーし、昨日はメフィストに通用したからな!
今日は学校で『小悪魔』作戦だぜ!
1限目が終わり、授業の合間の休憩時間に学校の自販機コーナーをうろついてみるものの、知っている人間が居ない。
とぼとぼと教室へと戻ると、ちぇ、と2限目の授業を聞き流しながら、次の休み時間は別の場所にある自販機コーナーに行ってみようと目論んでいた。
そんなに暑くもないこの季節、喉が渇いているだのいないだのは関係なくなっていた。
この『小悪魔』作戦の効き目が知りたい。いつの間にか目的が変わっていたことにも気付かず、「早く授業終わんねーかな〜」と時計を睨み続けていた。
キーンコーンカーンコーン
チャイムと同時に教室を飛び出した俺は、別校舎近くの自販機まで走った。
(いたー!!!)
遠目からでもすぐわかる、ピンクの髪。
くふふ、とこっそりほくそ笑んで、そうっと近づく。
「しーまっ!」
ちょん、と顎を肩に乗せて、腰に手を巻きつかせると、志摩の肩がびくりと揺れた。
「お、おくむらくん!?え、どないしたん!」
「俺…」
「う、うん、なに?」
「志摩の…(おごりで)いちごみるくが飲みたい…」
ぽそり、と小さく呟くと、志摩がぴきりと固まった。
「え、ちょ、みるくとかそんな、こんな往来でさすがの俺でも…っていちご?いちごみるく?」
「おう、これっ!」
ちょっと志摩がよくわかんねーことを早口で言っていたが、とりあえず、指し示すように いちごみるくのボタンを押してみる。
まだお金を入れていないと思っていたのだけれど、予想に反してガコンと音を立てて紙パックのいちごみるくが出てきた。
「あ…」
(やべー!想定外!勝手に押しちまった!確かテレビでこれはやっちゃいけないって言ってたような…)
「な、なんや〜びっくりするやんか〜。コレ飲みたかったん?はい、」
ぐるぐる考えているうちに、ぽん、と俺の掌にいちごみるくを乗せてくれた。
「いや〜一瞬で妄想が駆け巡ってしもたわ〜。ピュアな顔して破廉恥な奥村くんゆうんも、うぐっ!」
「ありがとな!しま!」
嬉しくて、ぎゅうと目一杯志摩に抱きついた。
「う、うん、奥村くんの愛が苦しいくらい伝わってきたわ〜」
「あ、そろそろ授業始まっちまうな。じゃー塾でなー!」
気分爽快!
右手のいちごみるくを見て、俺は頬が緩むのを止められなかった。
みっしょんこんぷりーと!