◎ キスキスキス(1/2頁)
(今日こそ夕方には帰れるはずだったのに…)
なぜか最近こんな毎日だ。
予定通り任務が進まず、帰るのは日付が変わってからで。
今日はまだ日付が変わっていないものの、もうすぐ11時だ。
もちろん兄さんは眠っているだろう。
今日はもっと最悪なことに、雨に降られて水を吸ったコートがずっしりと重い。
ため息を吐いて静かに食堂へ向かうと、自分の分の晩御飯がきれいにラップをかけられて置いてある。
帰ってきた、とようやく実感できて、ホッとする。
そして兄さんが作ってくれた晩御飯を食べる前に、ずぶ濡れの体と、この硝煙と血の匂いをなんとかしたくて、風呂場へと向かった。
「お、雪男?おかえり!って、ずぶ濡れじゃねぇか!!」
カチャリと扉を開けると、予想外に兄さんが居た。
「ただいま、急に雨に降られちゃって。兄さんこそ、この時間にお風呂?」
「あーいや、うん。」
視線を逸らして、ぽりぽりと掻いた髪がぼさぼさなのを見て、おそらく今まで寝てしまっていたのだろうと思った。
「あ、背中流してやろうか!」
にひひ、と笑う兄さんをすぐにでも抱きしめたくて、けれどこんな濡れた冷たい制服で触れたくなくて。
先に入って行った兄さんを目で追うと、ばさばさと服を脱ぎ捨てた。
「ほら、ここ座れって!」
椅子を前後に二つ並べると、後ろ側に座った兄さんが、トントンと自分の前の椅子を指した。
「お前、背中、ジジィに似てきたな…」
「そうかな…?」
うっとりとした声でそんなことを言われれば、下肢に熱が溜まってくる。
「…兄さんの背中も流してあげる。交代しよう?」
そう言って兄さんの後ろに回って、スポンジを取ると、ゆっくりと兄さんの背中を擦り始める。
「おー気持ちー」
首筋から背中、腕を取って指先まで丹念に洗い、持っていたスポンジを落として、脇腹から手を差し込むと、その背を抱きしめた。
「っゆき、!?」
「…やっと触れられた…」
柔らかい髪に、紅い耳に、口づける。
「兄さん…こっち向いて…」
赤い顔がゆっくりとこっちを振り返るのを待ち切れず、覗きこむようにして性急にキスをした。
「っん…ぁ…ンぅ、」
後ろから回した手で、ぬるぬると泡立ったままの肌を撫でる。
ぷくりと僅かに主張した胸の赤い突起を指先でくりくりと捏ねるようにすれば、恥ずかしそうに兄さんが身じろいだ。
「だめ…今日は逃がさないよ」
「は、ふ…ッあ、あぅ…っ」
くちゅ、と可愛らしいへそに指を差し込んでやれば、びくびくと体を跳ねさせる。
離れた唇から、ぽたぽたと唾液が零れ落ちた。
「ゆき…ぁ、ゆ、きおっ…」
「兄さんって、左の乳首の方が敏感だよね、」
人差し指と中指で挟むようにぐりぐりと刺激しながら、カリカリと爪で先端を引っ掻いてやれば、兄さんの自身が反応し出す。
それを右手でゆっくりと包んで擦れば、喉から掠れた声を漏らして、体重を預けてきた。
「あ、あぅ…っゆき、つ、疲れて…じゃ、ねぇの。っうン…、する、のか…?」
「…うん。だって我慢できない…」
疲れなんて吹き飛んでしまうくらい、兄さんに触れた所から癒されていく。
寝てくれていたら、その寝顔に口づけるだけで抑えられていたのに。
触れてしまえば、欲が湧きでるように際限なく襲ってくる。
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