◎ 甘いおしおき(1/2頁)
久々に任務がなく、寮に帰ると兄さんが財布の中を見ながら小銭を数えていた。
「兄さん、何してるの?」
「へあっ!?」
声をかけるとビクリと肩を揺らし、チャリン、と数枚がフローリングに落ちた。
「いや、ちょっと…ジュースを買いに…」
目が泳ぎ、まるで嘘だと主張するように尻尾は下がってくるりと丸まってしまっている。
「そう。僕が買ってきてあげようか?兄さんは課題しなきゃいけないし、ね?」
念押しするようにそう言うと、兄さんはギクリと身を竦めた。
もう何度もこうやって課題を放ってマンガを読んでいたり、寝てしまったり、遊びに行ってしまったりしている。
「だ、大丈夫だって!すーぐ帰って…」
へらりと笑うと後ずさりするように扉に向かった兄さんのポケットから、ピリリリ、と電話の音が聞こえた。
慌てて出て行こうとした兄さんの手を捕まえ、後ろ手に腕を固定すると、兄さんのポケットから鳴り続けている携帯を抜き取った。
「あ…!」
「志摩君から、みたいだけど?」
「でっ出なくていいから!たぶん、マンガ返せって電話だか…」
丸わかりの言い訳を遮るように、ピ、と通話ボタンを押して、兄さんの耳に当ててやると、受話器の向こうから『奥村くーん?まだー?』という志摩君の明るい声が聞こえてきた。
「残念、だね。」
携帯を当てている耳と反対側の耳に、そう小さく呟くと、自分より幾分小さな体がふるりと震えた。
「志摩君、奥村雪男です。残念ながら兄さんはこれから課題がありますので外出することができません。志摩君も明日締切の課題、提出できなければ残っていただきますので気をつけて下さいね。では。」
一息でそう言い切ると、携帯を電源ごと切った。
「ゆ、雪男…ちゃ、ちゃんと帰ってからやるつもり…」
「あの量を?」
にこりとほほ笑んで机の上を指させば、う、と小さく詰まった。
おしおきだと称して、ベッドにもつれ込んで。
とろとろに蕩けさせたナカへと侵入した頃には、兄さんはおしおきの理由も忘れたように、僕にしがみ付くようにして嬌声を上げていた。
「あぁ、っあ!そ、こっ…あ、も、もうっ…」
「は、兄さん、ナカ、すごいんだけど…」
さっき一度ナカに放った僕の精液でぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる後孔は、限界を示すようにきゅうきゅう締めつけてくる。
「ほら、前も擦ってあげるから…イきなよ。」
「ぅ、あ、ぁああぁぁあアっ!!」
小さな耳の孔に舌をぬるりと差し込んで、射精を促すように兄さんの張り詰めた自身を扱くと、全身をびくびくと痙攣させた。
「――っ、」
絞り取られるようにうねる粘膜に誘われるように、僕もまた最奥で熱を吐きだした。
「ぁぅ…」
ひくりひくりと、小さな痙攣を繰り返す内部が心地いい。
しばらくそのまま熱を感じていると、兄さんがうとうとし始めた。
兄さんが一番好きなように。
とろとろになるまでキスをして、ぐちゃぐちゃになるまでナカを擦って、イきそうになったら前も扱いてやって、出した後は眠るまで抱きしめて。
…でも今日は残念だけど、甘やかすのはここまでだ。
「ンうぅ…っ!?」
眠ってしまう前に、ずるずると前立腺を擦りながら引き抜くと、細腰が揺れた。
「ぅ…ゆ、き…?」
眠りに落ちようとした所をまた無理やり起こされて、僅かに眉をひそめながら兄さんが僕の名前を呼ぶ。
「兄さん、寝ちゃだめだよ…」
ぐ、腕を引いて、力の抜けたままの兄さんの体を起こさせた。
「な、に…?」
ベッドに腰掛けると、ちゅ、ちゅとまた眠気に負けそうになっている兄さんにキスをする。
「兄さん、僕の前に来てくれない?」
「…っ今日は、もうしねーからなっ…舐めるやつ…」
ベッドに腰を掛けたままそう言ったせいか、どうやら勘違いしたようで、頬を染めながらぼそぼそと兄さんが呟く。
「ふふ、違うよ。違うから、…お願い。」
優しくそう言うと、兄さんは首を傾げながらも、ベッドを降りてフローリングに膝を着いた。
その瞬間、逃がさないように、けれども優しく抱きしめる。
「ゆきお…?」
「兄さん、…これからが『おしおき』、だよ?」
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