04勝燐

※アニメ側の話
16話と17話の間に書き始めたので、だいぶと変なところがありますが…:
ちゃっちゃ〜と流し読みして下さい!

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「降魔剣直してくれた勝呂の幼なじみにさ、ちゃんと礼言いたいんだ」


事の発端は俺のその一言で。

雪男に鍵を開けてもらって、勝呂の故郷、京都へと降り立った。

「5時にまたこっちから開けるから、ちゃんとここに戻ってきてね。…勝呂君が一緒だから大丈夫だと思うけど。」

「大丈夫だって!な、勝呂!」

「ちゃんと時間通り帰ってきますさかいに。すんません面倒かけて。」

「いえ、兄さんをよろしく。いってらっしゃい、兄さん。」

「おう!行ってくる!」

鍵ひとつで実家のある京都に着いてしまうなんて。

つくづく便利だと思ってしまう。

まぁ、悪用されないためにも、級によって持てる鍵が違ってくるのだが。


「勝呂〜!!」

はやく!と手招きする自分の恋人に、思わず頬が緩む。

そう、俺達は、恋人なのだ。

とは言え、まだ1度だけ手を繋いだことがあるくらいだけれど。


「あんま走んなや。こけんぞ。」

「なんか楽しくって。ここが勝呂の生まれ育った町なんだな、って思ったら。」


――あかん。ほんまあかん。無邪気すぎるやろ。素直すぎるやろ。天然殺し文句かそれは。

奥村にはちょいちょいこういう所があって、首まで真っ赤になった俺を不思議そうに見上げている。

「っ…早よ行くぞ!」

「??おう!」




下町からだいぶと山奥まで歩いてきた俺達は、ようやく鍛冶小屋を見つけた。

「ここや。おいー…?」

「おじゃまします!!…ん?」

中を覗くと誰も居なかった。一応電話で連絡は入れておいたのだが。


「あー!竜ちゃん!!もう来とったーん?」

俺には聞きなれた、奥村には聞きなれないであろう声が響いて、ドン、と体に衝撃があった。相変わらず抱きつき癖は直っていない、なんて呑気に言っている場合ではない。

「っちょ、…離れろや!」

思わずベリッと剥すと、奥村の方に視線をやる。

俯いていたので表情が分からなかったが、「奥村?」と声をかけると、いつもの笑顔で見上げてきたので、安心してしまった。

奥村が礼を言って、3人で俺の昔話とか、今の塾でのことを少し話して、鍛冶小屋を出た。

来た道を戻っていると、ふと、会話が途切れた。

無理に話を探すほどぎくしゃくもしていないし、のんびりと山の景色を見ながら歩いていると、くんっと服の裾が引っ張られた。


「…ゅ、っ…りゅうじ、」

「…っ!?」

一瞬で、茹でダコが如く顔に血液が集まる。

「おまっ…なに、何やねんいきなり…!」

「なっ…何でキレんだよ!!さっきは『竜ちゃん』なんて呼ばれてたくせに!」

奥村も恥ずかしいのか、俯いているが、髪から覗く耳は真っ赤だ。

「あいつは幼馴染やからしゃあないやろ…!」

「だ、抱きつかれて、赤くなってた…っ…なのに、俺にはっ…」

俺の服の裾を掴む手が、あまりにも弱弱しく見えて、思わず抱きしめる。

「阿呆…っ」

「ふえ…?」

自分よりずっと華奢な体。心臓が跳ねあがるのが自分でもわかる。
さっきは幼馴染とはいえ、女子に抱きつかれれば、さすがに照れてしまうけど、こんなにドキドキしたりはしない。

「わかるやろ…お前に名前呼ばれ続けたら、…心臓止まってまうわ。」


「…りゅーじ…」

すぐ耳元に届いた、甘くて拙いその声に、一瞬下肢に熱が行きそうになって、慌てて経典を思い浮かべて意識を反らした。

「ふはっ、ほんとだ。」

バクバクと跳ねる心臓の音が伝わったのだろう、奥村は嬉しそうに笑った。

「…っ、からかうなや!」


「りゅーじ、りゅーじ、…りゅうじ…」

ぐりぐりと俺の胸に顔を押しつけて、名前を連呼されると、もう、いろいろまずい。おずおずと腰に回された腕がさらに追い打ちをかける。


そしてふいに、逆に奥村はどうなんやろう、という疑問符が浮かび、そっと頭を屈めて耳元に近づくと、名前を囁いた。

「…燐、」

自分でも聞いたことないような低い声が出てびっくりしたけど、それ以上に、ばっ、と俺から離れて、耳を押さえて顔を真っ赤にしている奥村は、まるで小動物だ。

「なっ…なっ……!」

心臓のあたりをぎゅっと押さえている奥村を見て気を良くした俺は、手を差し出した。

「帰ろうや。」


そして、そっと手を重ねた。

名前は、またいつか、特別な時に。

*
まさかのツンに戻る勝呂とか、直接届けに来てた刀鍛冶の勝呂の幼馴染とか(名前なんだっけな)完全無視の方向で。もうアニメの方向性が心配でならない。

まぁこれはアニメでどんな女子が出てこようが、ヤキモチのネタにしかならねーぜ!!という決意表明です(え?)
でも出雲様にはきゅんとしました(ぉぃ)




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