哀惜の掌 (5/6頁)
唇を寄せると、唾液でべたべたになった真っ赤な唇が応えてくれた。
熱い口内に舌を差し込むと、目尻を染めて「ん、ン」と小さく声を漏らす。
歯列をなぞって、兄さんが好きな上顎を舐めてやると、ぴくぴくと体が反応した。
「…は、兄さん、可愛い…」
「ゆ…っンう」
舌と一緒に、自分の右手の人差指も横から差し入れて咥内を掻きまわす。
「あむっ、ぁ…」
そうしてべたべたになった人差し指を引き抜くと、未だ兄さんの指を咥えている後孔に、ぬるりと擦り寄せた。
「っあ…!あ…ゆ、き…なんで、っ」
呆けていた眼が、ぱちりと一度瞬きをして、ようやく状況を理解したようだった。
慌てて指を引き抜こうとしたので、自分の指を添えて、一緒に熱い胎内へと押し込んだ。
「あう…っ、あ…」
「ごめんね?ほんとは電話した時、任務終わってたんだ。…びっくりさせようと思ったら、僕が兄さんにびっくりさせられたよ。」
ねぇ?と耳元で囁くと、「あ…」と小さく呟いて、誤魔化すことなんてできないこの状況に、兄さんがうろたえて目を泳がす。
「熱いでしょ、兄さんのナカ。…熱くて、うねってて、気持ちいい…。…いつも僕がこのナカに入ってるんだよ。」
「っっっ…」
目をきつく瞑り、歯を食いしばってしまった兄さんに、優しく口づけると、入り口の締めつけが和らいだ。
「キスしたら、こっちもとろけるでしょ。前立腺、ちゃんと探せた?」
「っ…ふ、ぁ…う――」
羞恥からか、閉じている目尻から涙がこぼれて、舐め取ると僅かに瞼が開かれた。
「っうあ…!!や、あぁ」
兄さんの指をナカで絡め取るようにして、ぐりゅっと前立腺を押し上げてやると、甘い嬌声が上がった。
「や、…それ、や、だ…っ」
ぐっぐっと押し上げるたび、射精したばかりの陰茎からとろりと蜜が零れる。
それを隠すように丸まってしまったので、力の抜けた膝を割り開いた。
「ぁ…み、見るなっ…!」
「どうして?こんなにとろとろになって気持ち良さそうなのに。」
そう言って兄さんの自身の先に唇を当てると、ちゅう、と吸い上げた。
「やぁう―――!!」
残滓を絞り取られるような快感に、咽び泣く兄さんが可愛くてたまらない。
裏筋を根元からカリ首まで何度も舐めれば、小さく嬌声を漏らし、いやいやをするように左右に首を振る兄さん。
ぐにぐにと内壁を刺激する手も緩めず、隙間から中指も差し込んだ。
「はう…!うあ、あ、」
3本を飲み込んでいるその入り口は柔軟に伸びて、兄さんの精液と唾液と腸液でぬめる内壁は心地よく締めつけてくる。
左手で兄さんの指が抜けないように押さえたまま、にゅぷ、と自分の2本の指を抜き去った。
「あ…ぁ…、ゆ…き…?」
急に訪れた喪失感に、兄さんが僕の名前を呼んだ。
そして入り口が閉じてしまう前に、自身を後孔にあてがい、ソコに兄さんの指を飲み込ませたまま、ずるりと先端を埋め込ませた。
「あうっ!や…ゃ…む、り…っ」
「大丈夫だよ。兄さんのここ、やらかくなってるから。」
そう言うと、ずるずると侵入を再開する。
「あ…あ…うあ…っ」
自分の指を胎内に咥えたまま、陰茎を飲み込んでいく――その初めての感覚に、何度も腹筋が痙攣して、抜けないように押さえている兄さんの右腕もぷるぷる震えていた。
「ゆ、ゅき…待っ…あ、…ゆ、ゆびが…っ」
「うん、知ってるよ。大丈夫…力抜いて…?」
首筋を舐めあげると一瞬きゅうと入り口も内壁も締まって、べたべたになるくらいキスをしていると、蕩けるように締めつけが緩まった。
「んっ、ん、んうっ」
少しずつ、最奥を目指して自身を進ませると、唾液が溢れてくる。
だらだらと飲み込めずに零れた分を舌ですくって戻すと、ごくりと喉が鳴って、兄さんは2人分の混ざった唾液を嚥下した。
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