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「月島くん、すきです!!」

そう言われた瞬間に今日の日付を思い出した。いまだかつてこんなに相手を騙す気のない嘘があっただろうか。わかりやすすぎる。多分目の前でニヤニヤと笑っている同級生にはその自覚はないんだろう。彼女の思考が手に取るようにわかる。「今日はエイプリルフールだしいっちょツッキーのことびっくりさせてやるかな!」だ。馬鹿だ。

そもそも君さ、普段僕がどれだけ嫌がってもツッキーって呼んでくる癖にこんなときだけ「月島くん」って呼んでくるとか何なの。騙す気あんの。その時点で何かあるなって気が付くに決まってるデショ。相変わらず、頭が足りていない。

わくわくした顔で見つめてくるみょうじににっこり笑いかけてやる。

「うん、僕もみょうじのことスキだよ」
「…えっ」
「は?」

かーっと。まるで音を立てるようにみょうじの顔が赤に染まっていくのを見て、思わず間抜けな声がもれた。騙そうとしてくるなら騙し返すのも悪くないかな、と思っていたのに。何その反応。

呆気に取られてしばらくみょうじを見つめていると、慌てたように手を顔の横でぶんぶんと激しく振りながら、弁解めいたことを口にし始めた。

「や、ごめ、わかってる!わかってるよ!嘘だってわかってる!今日エイプリルフールだもんね!ちなみにわたしのも嘘でした!」
「…いや、それはわかってたケド」
「別にあの、これは違くて!その、何だろ、だってツッキーがすきとか言うから!なんか!あーもう!」

真っ赤にした顔を両手で覆いながらみょうじは大声で何か喚いている。何でもいいけどもっと整理してから喋ってよ。何が言いたいのかまったく解らない。僕がすきとか言うから、何。だいたいそっちが先にすきとか言ってきたんでしょ。今さら人のせいにしないでくんない。だいたいさ。

「……なに照れてんの」

みょうじがあまりにも顔を赤くするからだ。やたらめったら恥ずかしがるからだ。単なるエイプリルフールのお遊びに、ただの嘘に、大げさに反応したりするからだ。何だか顔が熱いのは。

何なの、ホント。勘弁してよ。あんなこと言わなきゃよかった、素直にあそこで「馬鹿」とだけ言っておけばよかった。少しからかってやろうと思っただけで、みょうじがこんな反応してくると思ってなかった。後悔してもしたりない。だっていつも「ツッキーツッキー」って馬鹿の一つ覚えみたいにうざったく話しかけてくるだけの癖に。

何そんな、可愛い反応なんかしちゃってんの、馬鹿。



「…ね、ツッキーも顔赤くなってるよ」
「……誰のせいだと思ってんの」


Happy April Foooool!!!!



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