あ、朝だ。朝日が差し込んで薄く目を開けた。そして、目の前に旦那様である和さんが居て飛び上がりそうになった。一緒に寝たところまで覚えているけどまさかここまで近いとはと赤面する。抱きしめられて寝ていたらしい。起こさなきゃと思い、朝ですよーと呟いてみる。眠たそうに唸る和さんをまじまじと見つめた。改めて見るとかっこいいな、なんて。 「和さん、朝ですよ」 「ん、?」 「おはようございます」 「ああ、はよ」 額にリップ音。目を見開くと和さんがほほ笑んでいた。これ、寝起きじゃ、ない。いつから起きてたんですか。お前が起きる大分前。ううっ、馬鹿!、そんなやり取りをする。朝から新婚っぽい。 「早めに帰るよ」 「はい、気を付けてね」 和さんの顔が近付いてきて唇が触れた。和さんは悪戯な笑みを浮かべていってきます、と。どこぞのバカップルだと苦笑する。でも幸せだからいいや、といってらっしゃいを返す。 彼が帰るまで私は家事をこなす。その間に趣味でもある自身の仕事をしてみたり。誰も居なくなった部屋で和さんとの思い出に浸ってみたり。少し奮発して夕食作ってみようか。そう思って買い物へ。その帰りに後輩の利央に会った。久しぶりじゃないですか!、とほのぼのとした話をする。野球をするのが楽しい、とか。暫くして、利央も練習中の買い出しだったらしく、いけね!と走って帰って行った。走り去る利央が突然振り返って「和さんとお幸せに!今度準さんと遊びに行きますから!」と言う。その言葉に驚きながらもありがとうと返して私も家へと向かった。 「ただいま」 七時頃、和さんが帰ってきた。今日は早いなあ、頬が緩んだ。出迎えようと玄関へ急ぐ。ぱたぱたとスリッパが床に触れる音がなんとも新婚らしい。それにエプロン付けているしね。和さんの趣味であろうかフリフリのピンクが可愛らしい。 「おかえりなさい」 「ただいま」 これを後何十年も続けるのだろうと思うと嬉しくなった。そんな私の思考に気付いてか、和さんはニコニコと笑って私を見る。不思議には思ったが私が玄関に居るから入ってこれないのかなと踵を反して居間へと歩を進める。しかし、それは叶わなかった。後ろから和さんに抱きしめられて身動きがとれない。頭が若干のパニックを引き起こす。顔が赤くなるのが分かった。 「ご飯にする?お風呂にする?それとも……って言ってくれないのか?」 んなっ!と私はたまらず視線を逸らすが、和さんは微笑んでいる。笑顔でさらっと言いのける和さんには敵わない。きっとこれは何十年先になっても。 ご飯にしますか、お風呂にしますか、それとも……? (恥ずかしくなり振り向いて和さんの胸へ) (和さんはハハッと嬉しそうに笑って)(また甘いキスをする) |