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血を吸うのって吸血鬼?いや、それは西洋の呼び方。日本、いや、私の村"外場村"では"起き上がり"と呼ばれる。蔑まれ忌み嫌われる存在。でもそんな起き上がりを愛してしまう私も居る。それが私だ。それも屍鬼より優れた人狼を愛してしまった。

「黎」

彼は甘い声で私を呼ぶ。いつもそうだ。私に選択などさせないかのように。

「食事をさせてください」

歯が覗く。鋭く尖った歯にゴクリと喉を鳴らす。普通恐怖を抱くのではないか。血を与えるという行為は不快感と鋭い痛みが走る。その半面、快感も伴うのだ。それは愛する人に血を吸われるからなのか。ただの痛みを紛らわす麻薬のようなものなのか。私はどのみち虜になってしまった。
首筋を開けると辰巳さんは私を抱きしめ、ぺろりと舐めた。びくっと身体を強張らせると彼が首筋で笑った。そして、歯を立てた。つぷりと歯が食い込む。ゆっくりと深く。棘が刺さったようなぴりっとする痛みと血が抜けていく感覚。

「うっ、ンん、」

ぞくぞくと刺激が走り、身ぶるいする。つい声が漏れるとくくっと笑う声がした。サディスティックな辰巳さんは羞恥と快感で赤く染まる私を見るのが好きなのだ。

「んっ、あ、辰巳さ、ン」

辰巳さんが食事を終える頃には、私の頬は火照り息を乱していた。肩で呼吸をする私を見て辰巳さんはニッと笑った。

「さあて、次は僕とイイ事しましょうか」

好青年と人狼の笑みが視界に広がり口を塞がれた。




愛か、食事か



(快感を呼び覚ます行為に私は虜)
(辰巳さん、好き)(ははっ、僕もだ絶対離さない)


11/05/03 屍鬼


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