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二人きりの教会。横には黎さんが居て。なんともおいしい状況なんじゃないか、慶。でも私は聖職者としての務めもあるし、変な気を起こすことは許されない。しかし、その決意とは裏腹に彼女は無防備に肌を曝け出している。こんな気持ちに悶々とするのも全ては八尾さんが原因だ。今日はじょ、女性の胸の日だとか言うもんだから。男としてはやはりそちらに目が行ってしまう性なのだ。

「牧野、さん、どうかしましたか?」
「いや、あ、の」
「言いたい事があるのならはっきりお願いします」

うっ、と黙った。これは彼女に伝えるべきなのか。そう迷っていれば彼女が不審な目を向けてくる。

「黎、さん」
「はい、?」
「肌を出し過ぎです。貴方は女性なのですから……」

そう言えば彼女の頬は赤く染まった。自分の胸元がガバリと開いている様子を見て酷く驚いているようだった。

「す、すいませんっ!粗末なものを、!」

慌てて胸元のボタンを留める彼女にどくんと加虐心が生まれて頭を振った。駄目だ。耐えろ慶!

「牧野さん、すいま、せん」

余程恥ずかしかったのだろうか黎さんは涙目で私を見た。これはキた。ぐっと彼女の手を掴んで引いた。距離が近づいた。彼女は驚いて口をぱくぱくとさせる。そんな彼女を引き寄せてその唇を塞ぐ。

「え、?ふ、っん」

静かな教会になんとも相応しくない、いかがわしい音が響いた。息が続かなくなった彼女が私の胸を叩く。離してやると同時に華奢な彼女を背中から抱きかかえた。

「まきのさん?」
「黎さん。今日が何の日か知っていますか?」

黎さんは頭を横に振る。



策士



教えてあげましょう、と微笑んで再び彼女の口を塞いだ。


11/08/01 警報
おっぱいの日ということでご乱心。



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